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2025.04.11

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総合通販

【インタビュー】 <新社長に聞く> 千趣会 鈴木聡社長、「再生の鍵は『企画力』」

鈴木聡氏


通販事業「ベルメゾン」を運営する千趣会は、3期連続で営業損失と純損失を計上していることから、2025~2027年の再生計画を策定している。24年12月期の売上高の87%を占める通信販売については、ターゲットの明確化と商品力の向上による抜本改革を掲げた。そのほか、通販アセットを活用したビジネスの拡大や新たな収益源の開発により再建を図るという。千趣会の方針や取り組みについて、3月26日に代表取締役社長に就任した鈴木聡氏に聞いた。



 
──社長として大切にしたいことや信念は。

何でも手に入る豊かな時代ではあるが、企業としてやるべきことは、その「豊かさとは何か」を考えて形にすることだと思う。最近ではAIなど最新技術を含めたいろいろなアプローチがあるが、千趣会としては強みである”企画力”を生かした提案をしていきたいと考えている。

──企画力はどのように生かしていくのか。

千趣会も「楽天市場」や「Amazon」に出店しているが、やはり商品数が多く、似たようなものも多い。その中で買ってもらう商品に必要なのは、千趣会ならではの”面白さ”だと思っている。

千趣会には、商品の機能的価値や情緒的価値に加えて、少しだけ違う観点の価値を落とし込む企画力を持つメンバーがそろっている。

ただ、今の経営状況において、チャレンジしにくい環境になってしまっていることが課題だ。「千趣会人心得」のユニークな発想を解放していきたい。


内向きな状況を打破


──課題解決のために取り組んでいることは。

社長就任前にベルメゾン事業本部内で「商品開発に向けた”妄想”を広げよう」というプロジェクトを立ち上げ、今も進行中だ。目的としては、これまでの千趣会にあったような「ここにしかないユニークな商品」の挑戦を再びすることだ。

今の内向きな状況を打破するために、自由にものづくりをしたい人を社内公募した。最初の1カ月はただただ妄想だけでアイデア出しをしてもらい、メンバーの5人で360個の企画が出た。今年中に30個くらいの”妄想商品”を出せるだろう。

──事業再生計画で、世代ごとにアプローチする方針を掲げた。

「企画力」はサービスにも生かせる。「ベルメゾン」のコアターゲットである40~50代は保険事業との親和性が高いと思う。「団塊ジュニア」と呼ばれる世代で、安定を求めて慎重に動く傾向があることから、千趣会ならではの集客と商品を強化して訴求していきたい。

──若年層へのアプローチは。

団塊ジュニア世代とは異なる購買行動をする世代とは、外部ECモールや、ポップアップストアなどの体験で接点を持っている。インテリアブランドの「ベルメゾンデイズ」や子ども服の「GITA(ジータ)」など、商品起点でアプローチしていく。

SNS発信においては、ユニークな商品が「バズる」など、公式アカウントやインフルエンサーとの取り組みに手応えを感じている。

SNSは情報が埋もれやすいが、やはり企画力を生かした商品であればしっかりと届くコンテンツとなっている。

通販事業以外では、子育てやエシカルの分野を新規事業として強化していく。今はまだテスト段階だが、挑戦を続けて経済的価値も両立できる勝ち筋を見つけたい。

──今後の意気込みは。

私の思う社長の役割は、”前に立ってリードする”というよりも、現場にスポットライトを当てて”楽しく仕事ができる環境を作ること”だ。一番輝かないといけないのは現場で、私自身は”逆三角形の一番下”で動くことを常に意識している。

足元の状況は順調で、2025~2026年はしっかりと安定を作る。再生計画の内容を現場に落とし込んだタスクは易しいものではないが、従業員一同、全力で取り組んでいる。

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