「安全・安心への取り組みレポート」は2024年9月に上半期(1~6月)版を初めて公開し、今回が第2回目の発表となる。
「このレポートは『ヤフーショッピング』出店者、広告出稿企業、パートナー企業、一般のお客さまに安心してサービスを利用してもらえるように、当社の取り組み内容をきちんと伝えることを目的にしている」(ショッピング統括本部安全対策部栗原親史部長)と話す。
新たに審査項目に「化粧品」などを追加した理由について、「以前は高価格帯の化粧品ブランドの模倣品が多かったが、最近は低価格商品の模倣品も多い。そこで化粧品の審査を強めるため、審査項目に『化粧品』を追加した」(同)と話す。
「化粧品」の模倣品は正規のルートで仕入れを行っていない事業者が販売していることが多いとみている。
「違反ストアを分析すると、海外から商品を発送していることが多いと思っている」(同)と話す。
出店審査を厳格化
「ヤフーショッピング」では、現在、主に(1)信頼できるストアの厳選(2)不適切なストアや商品の排除(3)不正行為の防止─などを実施して、安全な売り場の運営を追求している。
信頼できるストアを厳選するため、出店審査を厳格化している。2024年以降、ストアが販売までに必要な「出店審査」と「開店審査」の2段審査のうち、「出店審査」を厳格化し、不正行為が疑われるストアの出店を抑制している。
「出店審査」では2024年1月、個人事業主の在庫証明書の提出を求めた。同5月、法人企業の在庫証明書の提出を要求。同10月、出店に当たって携帯電話やフリーアドレスからの申請申し込みを禁止した。
「その後、開店審査を行う。結果として、2024年7~12月(下半期)における出店審査の合格率は2023年の下半期と比較して、17.5ポイントほど減少した。2024年下半期における合格率は4.1%となり、健全なストアのみが出店できるようになっている」(同)と説明する。
すでに出店済の不適切なストアや商品の排除に関しては、途上審査として、一部の違反が疑われるストアに対して、「eKYC(セルフィーアップロード型)」を導入し、本人写真と本人確認書類の撮影を求め、提出を義務付けている。
無在庫転売を行っているストアへの対策として2024年10月から、(1)在庫証明を行っていない未審査状態の個人事業主ストアへの休店措置(2)出店しているストア向けに無在庫転売に関する意見受け付けフォームの設置─などを実施して、監視を強化している。
「無在庫転売のやり方は変わっていない。『ヤフーショッピング』に出店しているストアが注文を受けた場合、別のモールで注文商品を購入し、そこから発送する。そのため、購入したお客さまにとっては注文キャンセルや商品が届かないといったケースが多発していた」(同)と説明する。
不正レビューを排除
不正行為の防止では、不正レビューの排除に注力している。2024年は513ストア、合計27万8404件の不適切なレビューを削除した。
「ヤフーショッピング」では、「やらせレビュー」が散見される。「やらせレビュー」とは、自社従業員や関係のある第3者に依頼し、取り引きの実態がないにも関わらず、ストア評価や商品レビューで高評価を付けること。
販売開始後でも高評価のレビューが数十件たまっていると、消費者は多くの人から支持されているストアだと認識して商品を購入する。だが、実際には購入した人のレビューではないため、レビューの真実性が疑われることになる。
「レビューを監視する専門部隊を設け、常に違法性の高いレビューがないかを確認している。そして現時点においては、『やらせレビュー』はストアを評価する『ストアレビュー』に多い状況となっているが、さらに直近においては商品のレビューでも『これはやらせレビューではないか』と疑問視する投稿も増えている。今年度はストアだけでなく、商品の『やらせレビュー』に関しても注意深く監視し、対策を強化していく」(同)と話す。
今後は、「やらせレビュー対策」をシステムによって自動化し、日次で判定した上で、疑われるレビューを削除していく。
優良配送の信頼向上
配送関連では、注文当日から翌々日までに届く「優良配送」商品が拡大している。よりユーザーに信頼して利用してもらえるよう、厳正な基準で判定をするための「お届け日の遵守」「配送ステータスの連携」などの対策を強化していく。確実で安心な「優良配送」を提供していく方針だ。
「優良配送に関しては、対象商品を購入したが、到着までに4~5日間かかったなどの声も聞かれている。これはお客さまにとっては”がっかり”する購入体験になってしまうため、それを防ぐ。また、なかには出荷遅延率が増えない範囲内で意図的に出荷を遅らせているストアもいる。そのようなストアには厳しく対処していく」(同)と話す。