「ウェルエイジング」を生かした開発
キューサイでは既存製品の改良に積極的だ。冷凍青汁は「昔懐かしい感じ」をテーマにパッケージを刷新。好評だった復刻版パッケージを定番化した。ユーザーからの反応を見ながらリニューアルを重ねているという。
トレンドや健康志向を取り入れた商品も展開している。青汁には、カテキンや食物繊維、蜂蜜を加えるなど、新しい価値の提案に挑戦している。
主力商品の一つである「ヒザサポートコラーゲン」は、機能性表示食品として科学的根拠に基づき開発された。同社が長年研究してきたコラーゲン技術を応用した。
新商品の展開においては、発売前から大々的なプロモーションを行うのではなく、発売後の反応を見ながらプロモーションを強化する方針をとっているという。訴求ポイントを見直し、柔軟に訴求を変えていっているのだそうだ。
ブランド全体としての方向性は、2022年に刷新。「未来の課題を見据えて今を楽しむ」という”ウェルエイジング”をコンセプトに掲げた。
このブランドイメージの転換と並行し、マーケティング戦略も進化を見せる。かつてはテレビ通販などオフラインのチャネルを通じて高齢者を中心に訴求していたが、現在は、40~50代を視野に入れ、エイジングのメカニズムや健康への意識が高まる年代に向けた、デジタル広告やSNSを活用した情報発信に力を入れている。
「睡眠」や「疲労」「更年期」といったミドル世代特有のキーワードに着目し、商品開発を行っている。個別の部位をケアする商品だけではなく、全身を捉えた「ヒューマンダイヤモンド」的なアプローチを採用。例えば、ヒザのケアにとどまらず、全身の健康維持をサポートする提案を重視し、複数の商品を組み合わせて提案するスタイルをとっている。
パーソナルな提案が必要
消費者ニーズの把握には、コールセンターに寄せられる声を第一に活用。アンケートや消費者インタビューの結果も利用している。会報誌に同封する形で目的や悩みに関する調査を実施。ウェブアンケートなどを使い取得した定量・定性データも、商品開発に生かしているという。
顧客層には変化が見られる。キューサイの顧客層はかつては高齢者が主だったが、現在は40代から50代の層にも広がっている。老化を自覚しながらも、「認めたくない」という気持ちや、「人に知られたくない」という、心理的な壁も見え始めており、消費者一人一人のリテラシーの差を踏まえた、パーソナルな提案の必要性を感じているという。
2024年3月に発覚した紅麹問題を受けても、商品開発の方向性にブレはないという。ウェルエイジングという考え方を根幹に据え、今後もその思想に基づいた製品作りを継続していく方針だ。
今後の注力分野としては、50代の「予防」への意識を捉え、フレイル(虚弱)前のケアに着目した商品展開を進めていく意向を示している。老いを恐れず、今を楽しみながら未来に備える。そんな”前向きなエイジング”を支える健康食品を、キューサイはこれからも開発していくとしている。