ヤマト運輸(本社東京都)の阿波誠一新社長は5月22日、東京・銀座の新社屋で記者会見を行った。着任して約2カ月経過した中、宅急便を成長させるための仕組み、仕掛けについて話した。
阿波新社長は就任以降、全国の主幹支店を回ってきたという。その中で、「効率性は追わない。しっかりとした土台はできている。これ以上効率性を求めることは、品質の低下や顧客離れにつながる可能性がある」としていた。
2025年5月から全国で取り扱いを開始した「こねこ便420」については、「当社としては久しぶりの新商品。全国を回り伝えているのは、『こねこ便を売る』ではないということ。新たなサービスが始まったことをフックにして、他に荷物はないのか、お困りごとはないかといった話をしに行くことが重要だ。そういった顧客との接点が、宅急便のニーズ増加につながってくると考えている」(同)と話す。
ヤマト運輸の経営上の課題としては、「売り上げ」と「人員不足」を挙げた。
「例えば北海道の地方で、赤字だからといって営業所をなくすのでは意味がない。ドライバーの1日の中の限られた時間を有効活用していくことが重要だ。今いる戦力を差配によってどれだけ変えていけるか。幹線輸送や拠点の偏在といった課題を解決していくことが、中長期的に重要になってくると考えている」(同)としていた。
海外事業については、「越境ECは大きく伸びており、利益にも貢献している。だが宅急便のサービスをそのまま持っていっても、海外には合わない。日本とは異なる戦略を立てていく必要があると考えている。現在は、越境ECや国際引っ越しなど、戦略を絞って展開している。今後も成長市場として、注目していく」(同)としていた。
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