後払い決済サービスに関連する消費者トラブルが多発していることを受け、国民生活センターは7月2日、消費者に対して注意喚起を行った。日本後払い決済サービス協会(事務局東京都、柴田紳会長)に対しては、業界の市場健全化に向けた取り組みを行うよう要望した。
国センは、後払いの相談事例として、「定期購入の解約をしたのに請求が続く」「購入した覚えがない商品について後払い決済サービス事業者から請求がくる」などを公表した。
相談情報部の内藤奈津機課長補佐は「後払い決済サービス事業者の欠陥を指摘するものではない。消費者への対応が不十分だったり、後払いサービスが不正利用されていたりするので、関係協会に対応を要望することにした」と話す。日本後払い決済サービス協会に対しては、(1)加盟店契約時の初期審査、継続的なモニタリング、消費者トラブルが発生した際の迅速な随時調査の徹底(2)消費者トラブルを発生させている加盟店について、当該事業者への迅速な対応と協会加盟社間の共有(3)協会加盟社の拡大を含む業界全体の取引の適正化に向けた取り組みの実施(4)不正利用防止対策の取り組みの実施─の4点を要望した。
国センによると、複数の後払い決済サービスの加盟店となり、継続的にトラブルを発生させている販売事業者の事例も見られるという。
消費者に対しては「契約前の表示や条件を確認して、スクリーンショットで保存すること」「後払い決済サービスの利用を慎重に検討すること」などを促した。トラブルにあった際は、後払い決済サービス事業者に相談するよう促した。
国センの調べでは、後払い決済サービスを提供している企業は約20社。相談情報部の小林真寿美部長は「後払い決済サービスについて所管している法律はない。新規参入もしやすい状況になっている」と説明した。
2021年4月~2022年3月に1万4555件だった、後払い決済に関する相談件数が、2024年4月~2025年3月には4万3964件に増加した。相談の約8割は、定期購入の利用に関するもので、契約当事者は50代以上が多いという。
販売形態は「通信販売」が96.7%を占めているが、自動車教習所やハウスクリーニングなどの、訪問を伴うサービスに関する相談も寄せられているとしている。