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2025.07.03

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【通販化粧品 トップインタビュー】メディプラス 内田恭平社長「組織改革とLTV高めるCRM」

内田恭平氏


「持続可能性」軸に、顧客との関係深め成長へ「メディプラスゲル」を主体とした化粧品の通販を展開するメディプラス(本社東京都)では、2023年に内田恭平氏が社長に就任して以来、組織改革に取り組んできた。既存顧客のLTVを高めるため、CRMの強化も加速させてきたという。内田社長に、メディプラスの組織改革について聞いた。



管理部や情報部など新設


──2024年8月期の売上高は前期比約7%増の45億円だったと聞く。社長就任から2年を迎える中、これまでの取り組みについて聞きたい。
 
持続可能な会社経営を第一に考えている。ブランドが続かなければ、それは真のブランディングとは言えない。私の就任後はまず、組織の再構築に注力した。
 
管理部を新設し、データ活用に特化した情報部、ブランドの美容理念を社内に浸透させる美容部も立ち上げた。成果に応じた昇格制度の明確化も進めた。
 
改革の根底には、創業者・恒吉明美が掲げた「メディプラスイズム」がある。「メディプラスイズム」としては、「肌と心をストレスから解放する生き方の提案」を掲げている。

──増収の要因は。
 
2024年8月期の伸びは、前年の、広告施策や商品施策の効果によるものだ。組織改革の成果はむしろ2025年8月期から現れてくると見ている。


ファンの醸成


──現在の業績の進捗状況と、販売戦略の転換について教えてほしい。
 
上半期(2024年9月―2025年2月期)は前年同期比で2%の増収だった。かつてはディスカウントによる売り上げ拡大を目指していたが、今は「安いから」ではなく「好きだから」選ばれるブランドを目指している。愛用してくださるお客さまとは、「他では代替できない存在である」と感じてもらえるような関係性を築きたい。
 
その結果として、LTVが高まると考えている。
 
お客さまの支持を可視化するため、リピート率などの指標を重視している。今年5月には、会報誌を創刊したが、会報誌での販売は行わない。商品紹介ではなく、社員やパートナー企業も登場するコンテンツを作っていきたい。お客さまと当社との距離を縮めるのが狙いだ。

──コスト高が続いているが、影響は。
 
物流体制を見直し、配送委託先との連携を再構築した。結果的に当社にもお客さまにも、物流パートナーにもメリットがある形でコスト抑制が実現できた。
 
今のところ、パートナーの努力もあり、価格高騰の影響も受けていない。価格転嫁に頼らず、社内外の協力と努力・工夫でコスト吸収できている。

──今期(2025年8月期)の見通しと、今後の戦略について聞きたい。

 売り上げは微増を見込んでいる。利益面では、物流コストの圧縮による改善を期待している。
 
引き続き、コールセンターの接客体制を強化し、今後は、メルマガなどオンラインにおけるCRM施策を拡充する。
 
現在、販促費の6~7割が新規顧客向けに充てられ、3~4割が既存顧客に充てられているが、この比率を逆転させるのが理想だ。当社は定期購入でも割引に依存せず、そうした点もCRMを推進していく上での経営姿勢の表れとなっている。


CPOも改善


──独自成分「オゾン化グリセリン」配合の商品が人気だと聞くが。


 オゾン化グリセリン配合の「リペアリップパック」は発売直後に完売し、濃厚なゲル状製品「メディプラスゲルコンク」も急成長している。
 
発売半年で売り上げの1割を占めるようになった。主力製品よりも高濃度でオゾン化グリセリンを配合し、保湿力を高めた点が評価された。
 
CPOも、これまでよりも1000円近く抑えられるようになり、顧客獲得の効率も改善した。
 
──AIの活用についての方針は。
 
AIは積極的に使うべきだと考えているが、人の創造性が問われる部分は残すべきだ。たとえば、広告クリエーティブをAIに任せるのではなく、その評価にAIを活用することにより、精度と効率を高めていけると考えている。人とAIの適切な分業が今後の鍵となる。
 
AIに取って代われない、人の存在価値(特性)が問われてきていると思う。
 
「練習の60~70%を出せば試合に勝てる!」といった、普段からの鍛錬がベースとなり、会社を成長させるのだと信じている。

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