DCアーキテクト(本社東京都、鈴木幸治社長)の薬事法広告研究所では、広告などについて、薬機法・景表法・健康増進法などに基づきコンサルティングするサービスを提供している。化粧品の通販広告の規制事情に明るい、薬事法広告研究所の稲留万希子代表に話を聞いた。
──化粧品関連の法規制で、大きな変更はあったか。
2025年3月、化粧品の「特記表示ルール」の改正が40年ぶりに行われた。
「特記表示」とは、商品に配合されている成分中、特定の成分を表示することを指す。特記により「薬理効果」を有するような誤解を招く恐れがあるため、成分自体の特徴や配合意図を正確に示す必要がある。
近年、インターネット広告やSNSなど、化粧品の広告媒体や表現方法が多様化している。こうした環境の大きな変化に対応するため、ルールが見直されたという背景がある。より理解しやすい表現に修正され、実務に落とし込みやすいようQ&Aも整理された。
変更点としては、①配合目的を記載する際に「客観的に実証されていること」が必要となった ②「植物成分」「海藻エキス」などの統括的表現であっても、成分名と配合目的を明記しなければならなくなった ③「医薬部外品の有効成分と誤認されない」などの一定の条件を満たせば、「ビタミン」等、医薬部外品で有効成分になり得る成分でも特記表示が可能になった─が挙げられる。
動画広告など、表示媒体に応じた配慮が必要になる。注記を行う場合は、「消費者が容易に認識できる」ような表示を行わなくてはならない。
「特記表示ルール」に限らず、変動する市場環境に対応するための、さまざまなルールの変更は、今後順次行われる可能性が高い。
──ステマ規制についても聞きたい。
2023年10月に施行されたステマ規制にも引き続き注目している。
「商品」がステマ違反の処分対象になった事例がある。販売会社が依頼した、インフルエンサーのインスタグラムの投稿の一部を、販売会社が抜粋し、自社ウェブサイトに転載した際、PR表記を行っていなかったというのが、処分の理由だった。
自社サイトの表示は、第三者に依頼した投稿であることを明らかにしていなかった。そのため、表示内容全体から一般消費者にとって、「事業者の表示」の判別が困難であるとして、景表法違反に当たると判断された。
社内のチェック体制などを見直すことも欠かせない。
──今後化粧品事業者に必要な対策は?
法律やルールを順守しながら、効果的な広告戦略を立てることだ。適正な広告運用を続けることで、持続的な成長を遂げられると考えている。
今後も法規制の最新情報を正しく把握し、対応していくことが求められるだろう。