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2025.07.09

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【訪販化粧品 トップインタビュー】ナガセビューティケァ 鳥江孝治社長「対面販売とECの融合を模索する」

鳥江孝治氏


化粧品訪販のナガセビューティケァ(本社東京都)では2025年4月、代表取締役社長に鳥江孝治氏が就任した。「対面販売とECの融合を模索する」と話す鳥江氏に、これまでのキャリア、そしてナガセビューティケァの今後について話を聞いた。



台湾での経験を訪販でも


──鳥江社長は1992年に長瀬産業のビューティケァ製品事業部に入社したと聞くが、どのようなキャリアを歩んできたのか。
 
長瀬産業のビューティケァ製品事業部には2006年まで所属していた。その後、化学品のスペシャリティーケミカル事業部に異動した。台湾の支社には2回出向した経験がある。そして今年、ナガセビューティケァに社長として戻ってきた。

──ナガセビューティケァの社長に就任したことについて、どんな思いがあるか。

 入社して最初に配属された事業部であることもあり、ナガセビューティケァには非常に愛着がある。一方で、訪問販売業界全体が苦戦している現状も認識している。
 国内の化粧品市場をマクロな視点で見ると、化粧品市場は2兆円規模を維持しているが、人口は増加していない。
 
その中で伸長が見られるのはインバウンド向けだ。
 
私がビューティケァ製品事業部に入社した当時は、店舗販売と訪販が主流でECはまだ存在しなかった。現在は流通チャネルが多様化している。EC市場の拡大に伴い、訪販は苦戦を強いられていると考えている。


全ての年代に照準を


──ナガセビューティケァの化粧品ブランドについて、どう考えるか。
 
ブランドコンセプトは「総合美」だ。美と健康の面で社会貢献をすることを通して、豊かな社会づくりを目指している。現在の主要顧客は60代から70代のシニア層だが、今後はこれまで以上に、すべての年代に商品やサービスを届けられるようにしたいと考えている。

──訪問販売という販売方法にはどのようなメリットがあると考えるか。
 
訪問販売には多くのメリットがある。「信頼できる人から買う」という点が最大の強みであり特徴だ。世の中には商品情報があふれており、消費者はその中から納得して商品を選びたいと考えている。
 
そうした中、当社のビューティコンサルタントから推奨されることで、納得感を持って商品を購入できることは、消費者にとって大きなメリットであり、当社の強みでもある。


訪販とECを融合へ


──ナガセビューティーケアでは、訪問販売だけでなく、ECなど、販路の多角化も進めている。ECをどのように展開しているか。

 ECは、二つの方法で展開している。一つは、ユーザーが、当社の公式ショップで、ビューティコンサルタントから聞いた紹介コードを登録して商品を購入する方法だ。紹介したコンサルタントには、手数料が支払われる。紹介を受けていない人でも商品購入は可能だ。
 
もう一つの方法として、EC専用ブランド「roomS(ルームエス)」を2023年に立ち上げ展開している。
 
訪販のチャネルについても、いわゆるドア・ツー・ドアの訪販はほとんど行っていない。フェイシャルエステから提案につなげるのが基本だ。
 
当社は約60年間、訪問販売という形態をとってきたが、現在はカウンセリングを重視した対面販売を主流としている。
 
フェイシャルエステなどの施術を提供した上で、化粧品や健康食品を提案する形が広がっている。
 
お客さまに商品を提案するビューティコンサルタントには、必要なトレーニングを提供する。お客さまには来店してもらい、接客と提案を受けてもらう。
 
今後は、私が陣頭指揮をとる中で、フェイシャルエステや接客の教育を強化し、見直していきたい。将来的には、対面販売とECのそれぞれの展開を融合させていきたいとも考えている。


50代の若い世代を


──次の世代の販売員の育成について、どのような取り組みをしているか。
 
主力販売員の多くは60代だ。人生経験が豊富で幅広い人脈を持っている。
 
今後は、彼女らに対して、幅広い年代の、知り合いや友人を、当社の仲間に引き入れてくれるよう強く訴えていきたい。オンラインを活用した美容・健康セミナーなども活用し、若手販売員の増加につなげたいと思っている。

──訪問販売業界では、販売員の高齢化と後継者問題が深刻化している。事業承継についてはどう考えるか。
 
数年前から、次の世代に引き継ぎやすい制度を整えている。当社の販売員は、それぞれのエリアで何十年もビジネスを展開してきた、非常に根気強く、素晴らしい功績を残してきた人たちだ。
 
地域や当社からの信頼も厚い。売り上げも収入もある人が多いため、年齢を理由に辞めてしまうのは非常にもったいないと考えている。築き上げてきた信頼という財産を地域に残してほしいと思っている。
 
──具体的な事業承継のケースとしては、どのようなものが多いか。
 
自身の娘さんに引き継いでもらうケースが多い。今後は、娘さん以外の方にも引き継げるような環境を整えていきたい。
 
──最後に、ナガセビューティケァというブランドをどのように運営していきたいか。
 
ナガセビューティケァは長瀬産業のグループ会社だ。長瀬産業は一般的には知られているが、女性の間では認知度が低い会社だ。
 
長瀬産業は、例えばナガセヴィータ(林原)が酵素に関する特別な技術を持つなど、さまざまな研究開発に特化した子会社を保有している。今後は、こうしたグループ会社のユニークな技術を活用して商品開発を行っていきたいと考えている。
 
国内展開だけでは頭打ちになると考えている。積極的な海外展開も視野に入れている。特に長年過ごした台湾での展開も考えており、その際にはグループの力を借りることもできると思っている。

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