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2025.07.11

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【訪販化粧品 トップインタビュー】ヤクルト本社 化粧品部 鴨田真弓部長「”体験提案型”の販売で成長実感」

鴨田真弓氏


ヤクルト本社の2025年3月期における化粧品事業の売上高は、前年比6.5%増の70億6200万円と好調だった。好調の要因について、化粧品部長の鴨田真弓氏は、「乳酸菌飲料と化粧品の両方を扱うヤクルトレディが堅調に増加した。商品施策も奏功している」と話す。鴨田氏に、商品戦略と今後の展開について話を聞いた。






きっかけ作りで成果


──2025年3月期の化粧品事業はどうだったか。

 
基幹ブランド「ラクトデュウ」のリブランドが奏功し、売り上げ増につながった。歯磨き剤「薬用アパコートS・E〈ナノテクノロジー〉」や最高級ライン「パラビオ」も大きく伸長した。
 
加えて、乳酸菌飲料の訪問販売を担うヤクルトレディによる化粧品販売が拡大し、一人当たりの売り上げも伸びている。

──ヤクルトレディの販売力が高まった要因は何か。

 
商品のリニューアルなどにより、提案のきっかけが生まれたことが大きい。

乳酸菌飲料の愛飲者に対して、ヤクルトレディが化粧品を紹介する機会をつくっている。そのことが、従来の利用者に対する、化粧品の提案だけでなく、新規の顧客層の開拓にもつながっているいる。お客さまの肌悩みに応じた提案を行う「体験提案型販売」を本格化しており、それを支える季節ごとの美容研修資料を本社から提供している。

──現在、特に提案しやすい商品は。
 
夏を前に日差しが強まるこの時期は、日焼け止めや洗顔料の提案がしやすい。冷房による「隠れ乾燥」も見られるため、昨年10月にリニューアル発売した「ラクトデュウ」のクリームが活躍している。
 
しっとりしながらもべたつかないテクスチャーが人気で、クリームを初めて使用する方にも受け入れられている。


ブランド認知度に課題


──部長就任から1年が経過したが、思うところは。
 
ヤクルトは今年で創業90周年、化粧品事業も70年の歴史を持つ。乳酸菌の研究成果を生かした化粧品は独自性があり、事業としての成長性を感じている。
 
一方で、化粧品ブランドとしての認知度が低いことは課題だ。昨年「コスメウィーク」への出展を通じて、「ヤクルトが化粧品を展開していること」自体を知らない人が多いことが判明した。
 
乳酸菌由来の成分が肌に良いということを、改めて広く伝えていく必要がある。
 
──販売体制の強化についてはどうか。
 
全国450カ所でエステサロンを展開しており、美容知識を持つスタッフとヤクルトレディが連携してカウンセリングを行い、お客さまの満足度を高める体制を整えている。
 
加えて、実績の高い販売会社の事例の共有を図り、成功事例を水平展開する取り組みも進めている。

──販売には三つの段階があると聞く。
 
まずは「薬用アパコート〈ナノテクノロジー〉』をエントリー商品として、乳酸菌飲料の利用者に提案する。
 
次に、「ラクトデュウ」を紹介し、使用後の満足感を得た人に、最高級ライン「パラビオ」を提案するようにしている。段階的にブランドの魅力を理解してもらうことで、継続利用を促進している。
 
──原材料の高騰も業界の関心事だが、影響はあるか。
 
容器や原料の価格は上昇している。特に、洗浄剤や乳化剤などに用いられる「パーム油」関連の原料が値上がりしており、その背景には海外生産拠点での人手不足や人件費上昇がある。


通販も認知度向上へ


──通販ブランド「ラクティフル」の現状は。
 
トライアルセットを販売し本品の定期購入へと誘導する仕組みを、昨年から導入した。引き上げ率は計画通りであるが、ブランド認知度は依然として低く、ウェブ広告やリアルな場で話題になる仕掛けなどの展開強化が、今後の課題となっている。

──2026年3月期の戦略方針について。
 
7月1日に、新規のお客さま獲得にもつなげられる新商品「薬用ハンドウォッシュS・E」を発売する。
 
今期のテーマは、それぞれの組織に合った、販売しやすい商品を、本社が開発・提案することにより、現場の販売力を段階的に高めてもらうこととしている。
 販売チャネルごとに対応したプロモーションも強化する。美容知識の教育も充実させ、ショート動画などを通じて、ヤクルトレディが楽しく気軽に美容を学べる環境づくりにも取り組む方針だ。

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