2025年5月期のeコマース事業の売上高は、前期比2.1%増の4623億7400万円だった。ASKUL事業では顧客数の減少に伴い、売上伸長率は低下している。
前中期経営計画では、2025年5月期に全体売上高を5500億円にまで高める目標だったが、実際は4811億円に留まっている。営業利益率も5.0%を目指していたが、2.9%となった。
「売上高の未達要因は、計画で掲げたソロエルアリーナサイトのオープン化効果が、想定どおりに実現しなかったこと、そして新規で拡大した商品が想定どおりに稼働しなかったこと。LOHACO事業については、黒字化への構造改革を優先したことによる」(吉岡晃社長)と説明する。
ASKUL事業においては、仕入原価の高騰を背景とした断続的な商品価格の値上げや、配送バー改定などの影響により、顧客数の減少につながっているという。
商品カテゴリーで見ると、生活用品の売り上げは大きくな伸長し、売上高構成比が最大のカテゴリーに成長した。一方、強化していたMROは、売り上げは伸びたものの、積極的に投入した専門商品の稼働率が思うように伸びなかった。

▲新たに策定した中期経営計画の数値目標
対人サービス業を狙う
新中期経営計画では、戦略ターゲットと重点商材領域を変更している。「ターゲットは、医療、介護、製造業から対人サービス業種へ、重点商材は、専門商材から仕事場の日用品と定めた。そして、時短と対人サービスの向上を支援することを提供価値とした」(同)と話す。
医療・介護や飲食・宿泊、小売・サービスなど対人サービス業種を戦略ターゲットに定め、新規開拓を促進する。
それに伴い、商材も「仕事の日用品」として、飲料・食品や飲食周辺商材、清掃・洗濯・衛生・感染対策、梱包発送・作業・保護・メンテナンス、スマートオフィス周辺商材などを拡充する方針だ。
「対人サービス業種の顧客開拓を加速するために、コード決済業界における圧倒的な顧客基盤を持つPayPay 社との協業を推進する。顧客開拓に留まらず、新規ビジネス含め、多方面での協業の検討を開始する」(同)と話す。
既存のバリューチェーンの全てにAIエージェントを活用し、業務の変革と、サービスの利便性の向上も図る。