東京地方裁判所は7月25日、消費者庁が2023年に行った景品表示法に基づく措置命令について、違法として取り消す判決を下した。裁判所が景表法の措置命令を取り消す判決を下すのは初となる。措置命令は2023年10月、forty-fourが販売する「糖質カット炊飯器 LOCABO(ロカボ)」の表示が、景品表示法に違反しているとして出されたもの。同社は取り消しを求めて提訴していた。消費者庁では、「本件商品の糖質カット炊飯機能で炊飯することにより、通常の炊飯機能で炊飯した米飯と同様の炊き上がりとなる」旨の表示が違法な表示に当たるとして処分を行っていた。東京地裁は、原告の広告表示はそのようには読み取れないという判断を行った。消費者庁が認定した違法な表示自体がそもそも誤っていたことにより、措置命令自体が成立しないと判断した。
消費者庁の2023年10月の処分発表によると、forty-fourは、「ロカボ」の自社ECサイトで、商品画像とともに、「減らす 控える 落とす おいしさそのまま 糖質45%カット炊飯器 LOCABO ※第三者機関による検査(2021年7月)」と表示していたという。forty-fourは、炊飯された米飯の画像とともに、「糖質カット炊飯器 LOCABO『あれば便利、邪魔にならない』をコンセプトにした45%カット炊飯器LOCABOの一番の特徴である糖質カットを実現したのは、その構造です。一般的な炊飯器では、お米を炊いた際におコメから発生するABOはお米から発生した糖質(でんぷん)がお米に付着しないように、蒸器のような構造にしています。これによって、炊飯時に発生した糖質(でんぷん)を落とすことが可能になりました」などと表示していたとしている。
消費者庁は、forty-fourはあたかも、「本件商品の糖質カット機能で炊飯することにより、通常の炊飯機能で炊飯した米飯と同様の炊き上がりで、米飯に含まれる糖質(でんぷん)が、45%カットできるかのように示す表示をしていた」と認定していた。
forty-fourは、「糖質カット炊飯の際の炊き方が、通常の炊飯とは異なることを表示している」と主張し、「ロカボ」の表示を優良誤認表示とみなすことはできないとして、措置命令の取り消し訴訟を提訴した。消費者庁は、広告表示に、「いつものお米を変えずに炊くだけで」「お米を変えずに普段通り炊くだけ」などの表示を挙げ、認定した表示が誤りではないと主張していた。
裁判では、forty-fourの表示が、「本件商品の糖質カット炊飯機能で炊飯することにより、通常の炊飯機能で炊飯した米飯と同様の炊き上がり」となる旨の表示をしていたかどうかが争点となっていた。
東京地裁は、「本件表示の内容全体を見た一般消費者は、本件商品の糖質カット炊飯機能で炊飯することにより、通常の炊飯機能で炊飯した米飯と同様の炊き上がりとなると認識するとはいえない」と判断した。
消費者庁が行った措置命令が、景品表示法の違法表示に該当しないにもかかわらずされたとして違法であると認定した。
消費者庁はこの件について、「国の主張が認められなかったことは非常に残念。本件について精査して、関係機関と協議し、対応を検討していきたい」(表示対策課)としている。
消費者庁は7月28日時点で、本件について控訴するかどうかは明らかにしていない。