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2025.08.05

連載

弁護士

【今さら聞けない法律入門・最新事例を交えて解説】<連載第3回>中山明智弁護士「期間限定セール価格の表示は2週間ごとに見直しを」

中山明智弁護士

健康食品や化粧品の通販における薬機法・特定商取引法・景品表示法の順守がより厳しく求められている。違反に該当すれば、業務停止や罰則の対象となるだけでなく、社会的な信頼を失うことになりかねない。本連載では、それぞれの法律に沿った基礎的な表示のポイントを、最新のケーススタディーを交えて解説する。第3回は景品表示法。薬機法や景品表示法に詳しい中山明智弁護士によると「期間限定のセール価格の表示は、2週間ごとに見直さないと危険」だという。





――なぜ期間限定のセール価格の表示は2週間ごとに見直しが必要なのか?

「有利誤認表示」として、景品表示法違反に該当するおそれがあるからだ。

「有利誤認表示」とは、商品やサービスの価格や取引条件について、実際よりも有利であると消費者に誤解させるような表示を指す。

例えば、「通常価格1万円のところを、今だけ5000円」という期間限定の値引きの広告を目にすることは少なくない。

ここでは「通常価格」の定義が肝となる。

「通常価格」とは、直近8週間のうち、半分以上の期間で売られていた価格でなければならない。直近8週間のうち、少なくとも4週間は1万円で販売した実績がないと、1万円を通常価格と告示することはできないのだ。

さらに、通常価格と表示された価格で最後に販売した日から、2週間が経過してしまった場合も、通常価格と表示することはできなくなる。

例えば、最後に1万円で販売した日から2週間以上経過しているのに「通常価格1万円のところ、今だけ5000円」という広告を出していたら違反とされる。

したがって、通常価格と比較して表示する割引価格の表示については、2週間ごとに見直す必要があるだろう。


――発売から8週間経過していない場合は?

発売期間が8週間未満の場合、発売からの半分以上の期間で売っている価格を、通常価格とする。

例えば、発売から6週間であれば、3週間以上販売している価格を、通常価格と表示できる。

ただし、通算で2週間以上販売していなければ、通常価格とは認められない。

発売から2週間しか経っていない商品であれば、半分の期間は1週間だが、1週間しか販売していない価格を「通常価格」と表示することはNGだ。


――他に景品表示法について注意すべきことは?

主な発覚ルートは3つある。

1つ目は消費者から消費者庁への通報、2つ目が同業他社からの情報提供、3つ目が行政による定期的なパトロールだ。

優良誤認表示については、消費者から「広告の通りの効果が得られなかった」や、同業他社から「この成分内容で、表示されている効果は得られないはず」などの通報がされることがある。

消費者庁には、表示に関する通報が日常的に寄せられており、それをもとに調査が始まるケースも多数ある。

過激な表現や極端な表現をしていると、エビデンスの提出を求められやすい。

薬機法に注意することが、結果として景品表示法の対策にもつながるだろう。


――ステルスマーケティングとその規制についても知りたい。

次回はステルスマーケティングについて、事例を交えて解説する。

「優良誤認表示」や「有利誤認表示」と並ぶ、景品表示法違反のパターンの1つに「内閣総理大臣が指定する表示の7パターン」があり、その中の1つに、ステルスマーケティングが含まれる。

ステルスマーケティングとは、広告であるにもかかわらず広告であることを明記しない、SNS投稿や情報発信のことだ。物販や通販事業をするうえで、知らなければならない内容となっている。

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