日本郵便は7月31日、郵便局で常態化していた点呼業務の不備事案について、国土交通省と総務省に対し、再発防止策などを盛り込んだ報告書を提出した。同社は、全社を挙げた意識改革とデジタル化による管理体制の強化を今後の最重要課題と位置づけ、再発防止に努めるとしている。
同事案は、全国の集配郵便局で点呼に関する法令違反が構造的・長期的に放置されていたことが社内調査で判明したことを受けていた。これにより、同社は6月25日に国土交通省から一般貨物自動車運送事業の許可を取り消される行政処分を受けていた。
報告書によると、再発防止策は以下の3本柱で構成されている。
意識改革: 社員約12万人を対象とした点呼の必要性に関する研修や、全社員約33万人を対象とした飲酒運転防止のガイドライン研修などを実施する。
職場マネジメント: 郵便局管理者向けの研修を通じて、実践的な指導方法を徹底させる。また、点呼業務を電子化するシステムを導入し、帳票依存から脱却することで、実態を正確に把握できる環境を整備する。このシステムは、9月末までに全集配郵便局に配備され、11月末からの運用開始を予定している。
ガバナンス体制の強化: 新たに安全統括責任部署を設置し、本社・支社による現場のモニタリングを強化。日本郵政を含む経営層による会合を毎月開催し、対策の進捗状況を厳格に管理する。
代替手段で月間11万便以上の輸送が継続許可取り消しにより使用できなくなった1トン以上の自社車両約2500台(全国約330局で使用)については、6月19日から以下の構成比で代替措置が取られた。これにより、従来の1トン以上車両を使用していた月間約11.8万便の輸送業務が継続されている。
代替手段の構成比
郵政グループ外の他の運送会社への委託:34%
日本郵便輸送株式会社への委託:23%
日本郵便輸送株式会社からの再委託:1%
自社軽四車両による代替:42%
合計:100%
同社は、これにより郵便のユニバーサルサービスに大きなトラブルは発生しておらず、サービス提供水準を確保できていると報告した。7月20日投開票の参議院選挙における選挙郵便も滞りなく運行されたという。
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