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2025.08.08

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【通販売上高ランキング 第31位】パル 取締役専務執行役員 堀田覚氏、「SNSの総フォロワー数は2200万人」

堀田学氏


パルグループホールディングス傘下のパル(本社大阪府)の2025年2月期のEC売上高は、前期比9.9%増の531億9900万円だった。2029年2月期には、EC売上高1000億円の達成を計画しているという。EC事業の成長戦略について、同社の取締役専務執行役員を務める堀田覚氏に話を聞いた。



自社ECは16.2%成長


──EC事業について聞きたい。
 
2025年2月期の連結決算におけるEC売上高は、前期比9.9%増の531億9900万円だった。自社EC「PALCLOSET(パルクローゼット)」が特に好調で、売り上げは前期比16.2%増の224億900万円となった。
 
2025年3-5月(第1四半期)のEC売り上げは、前年同期比15.9%増となり、前年同期比でさらに伸びている。パルグループホールディングス全体の連結の第1四半期において、4年連続で過去最高の売上高、利益を更新できた。


自社EC売上の6割はアプリ経由


──好調の要因は?
 
2025年2月期は特に、市場のトレンドの後押しを受け、高単価のブランドが好調に推移した。
 
自社EC「PALCLOSET」が大きく伸びている要因は複数あるが、一つは、SNSの活用だ。SNSは「PALCLOSET」の集客の軸となっている。
 
ECの集客と言うと、アプリの存在も欠かせない。自社EC事業の売り上げの約6割は、アプリ経由だ。新規顧客はウェブからの購入が多いが、リピーターの多くはアプリを利用している。アプリを活用した、ユーザーとのコミュニケーションにも引き続き力を入れていく。
 
「PALCLOSET」の絶え間ないリニューアルによる、利便性の向上も、好調の一因だと考えている。「PALCLOSET」については、その時々の課題の解消や、市場のトレンドの反映、新しい技術の導入など、何らかの改修を、ルーティンとして毎月行っている。
 
リニューアルのポイントは、「パーソナライゼーション」だ。以前から取り組んでいたが、さらに力を入れている。
 
現在当社では60ほどのブランドを展開している。レコメンドの精度を高め、各ブランドの買い回りを促進した結果、ブランドを横断した購入が大きく増えた。
 
商品の価格が上がっているため、買い控えなどの可能性も視野に入れていたが、CVRも堅調に推移した。


スタッフ約1900人がSNS運用


──ECの集客の要になっているという、SNSの活用についても詳しく聞きたい。
 
当社では、スタッフ約1900人が、それぞれの個人SNSアカウントを運用している。全アカウントを合計したフォロワーの総数は、約2200万人となっている。
 
2025年2月末時点で総計フォロワー数は2000万人を突破していたが、約4カ月で200万人ほど増えた。
 
スタッフのSNSのフォロワー数は、昨年も大きく伸びたが、今年も高い伸び率を維持している。
 
SNSの投稿については、一定のルールを設けつつも、スタッフの自主性を重視して運用を任せている。スタッフのモチベーションアップにつながるよう、明確な評価制度を整えインセンティブによって還元する仕組みを作っている。スタッフによるSNS運用は、ECの成長の原動力の一つだ。
 
──御社では積極的にAIを活用していると聞くが。
 
「PALCLOSET」では、AIを活用した、複数のサービスを展開している。スタッフのインスタグラム投稿やコーデコンテンツを学習したAIがチャット接客をする「ファッションメイト」、モデルの顔や、スタッフコーディネートの顔をユーザー自身の顔に差し替えることができる「AIフェイスチェンジ」などがある。
 
「ファッションメイト」は今後アップデートを予定している。今AI活用のスタッフは、自分自身の好きな情報の発信しか行えない。それはユーザーエクスペリエンス上、芳しくない。AI活用のスタッフが、接客するお客さまの情報に応じて、パーソナライズされたコミュニケーションを行えるようにしたいと考えている。
 
「AIフェイスチェンジ」は、お客さまからよく利用されており、手応えを感じている。最近では、フェイスチェンジする写真を、自分の体格に近いスタッフの写真から選べる機能を追加した。
 
今後もさらに顧客体験に寄与できるよう、各サービスの精度を高めていきたい。
 
──今後の展望について聞きたい。
 
今期(2026年2月期)はEC売上高が700億円になると見込んでいる。2029年2月期にはEC売上高1000億円の達成を計画している。
 
今までの取り組んできたことを地道に積み重ねながら、自社でさらにブランドを開発し、自社ECを軸に、EC事業を伸ばしていく考えだ。

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