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2024.01.05

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総合通販

【新春インタビュー】アズワン 井内卓嗣代表取締役社長「売上1000億円企業として次なるステージへ」

井内卓嗣代表取締役社長


理化学や研究、医療領域などへのBtoB通販を展開するアズワンは、売上高1000億円企業の射程圏内に入った。2023年11月に発表した中間期決算時における24年3月期の売上見通しは966億円。翌年の2025年3月期は、5カ年の中期経営計画(プロジェクトワン)の最終年度となる。2025年3月期の売上高は1066億円を計画する。井内卓嗣社長は「2025年度以降の成長曲線も描いている」と心中を明かし、さらなる成長を目指す。今後の展開や施策について井内社長に聞いた。


――現状の業績について。

2023年11月に発表した中間決算は、売上高が前年同期比3.6%増の441億円、営業利益が6.7%減の49億円だった。Eコマースの売上高は14.7%増の約129億円の結果となった。営業利益の減収は、新物流施設「阪神DC」の開設によるコストアップが要因だ。
 
現時点の振り返りとして、コロナ禍の反動を受けている。今期のメディカル部門における売り上げは厳しいとみている。ただ、ラボやインダストリーは2桁の増収で推移しているため、全体での業績は順調に推移している。
 
――下期の取り組みはどうか。

従来から取り組む品揃えの拡充と、Eコマースを強化する。EC起点での成長が続いているため、継続して取り組む。
 
物販以外では、レンタル分野に注力していく。レンタルの販売と物流の整備はすでに構築できている。特に研究者などへの展開を進める。
 
今は研究への予算が取れない。新品の研究機器を購入するハードルも上がっている。国立大学でさえも、数十年前の機器を使用するところもある。こうした動向を見れば、レンタルは非常に需要があるとみている。
 
また、研究する場所や実験機器がなくて困っている研究者のための「レンタルラボ」がはやっている。レンタルラボを通じて、いろいろな方々とコラボレーションして研究のサポートを行う。そこで、当社の物品やEコマースの仕組みを使って展開する。
 
特にベンチャー企業などは資金がない。場所貸しや機器のレンタルや供給、出資などもしながら支援していくつもりだ。

――2025年で中計が終わる。売上高1000億も見えてきた。

売上高1000億円はすでに見えている。その先の成長曲線について投資家も含めてみられているところだ。ただ、1000億円に到達すると1000億円企業として見られ、当社への見方も変わる。改めて、今後の成長戦略がより重要となる。

当社が開拓する実験室や研究室などの「lab(ラボ)」市場は、物販だけで1兆円の市場がある。そのうち、消耗品や汎用機器類などの市場は、おおよそ3割で、3000億円のマーケットがある。当社のシェアとしてはまだ3割未満。残る7~8割が今後の伸ばしていける領域になる。

――1000億円から先の成長戦略はどのように描いているのか。
 
一つは、高価格帯の販売だ。今は20万円以下の販売が主となっている。
 
研究室などで使う分析や測量機器などのレンタルが伸びていることから、これまで取引がなかった大手企業の機器メーカーとの口座開設が増えている。新規口座が増えれば、販売アイテムとレンタル品目が増える。アイテムが増えれば、研究者からの需要も増えるようなイメージだ。付加価値が高まり、アイテム数と回転率を今後増やしていければ、さらなる収益が見込める。
 
研究で使う分析機器や測量機器などには校正が必要となる。校正は機器の精度や機能、動作を確認するもので、機器が増えることで校正できる体制の強化が求められる。レンタル校正センターとして、対応できる場所と人を拡張させている。
 
二つ目は集中購買システムだろう。システムのカスタマイズや利用料などは無償で提供し、取り扱いアイテムは1000万点まで増えている。この仕組みを他の分野にも応用できるように進めている。
 
三つ目は、領域の拡大となる。病院やホテル、飲食、学校にも手を広げていく。すでに病院は展開している。ホテルとは直接契約などで着々と販路を拡大している。
 
飲食店向けには、厨房用品や日用品、衛生用品のECサイト「アズキッチン」を展開している。開設して間もないが、取り扱いアイテム数は60万点ある。取り扱いアイテム数としては他のサイトと比べて断トツだろう。
 
他にも、リサイクルなどの循環型ビジネスモデルの構築や研究者への深耕も進めている。研究者同士のコミュニティーを組織したほか、小中高の理科教材市場への参入などにより、切り口を変えた貢献にも対応していく。
 
物販領域の拡充とサービス領域への強化などを次のステージの成長剤として猛進していく。




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