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2025.08.14

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健康食品

【通販トップインタビュー】キューサイ 石川順朗社長「ウェルエイジングナンバーワンへ」

健康食品通販大手のキューサイ(本社福岡県)ではこのほど、新社長に石川順朗(いしかわ・まさあき)氏が就任する人事を行った。石川氏はこれまで、ソニーやアマゾン、オークローンマーケティングなどで、国内外のオペレーション管理を担当してきた。その経験を生かし、キューサイを「ウェルエイジングナンバーワン」企業へと変革させる意欲を示している。これまで「青汁の会社」と認識されてきたキューサイのイメージを刷新し、多角的なアプローチで顧客に寄り添う戦略を打ち出している。石川新社長に話しを聞いた。

マルチチャネル・プロダクトへ

――キューサイが目指す未来について聞きたい。

キューサイでは、これまでテレビ通販を主力としてきた。多様な販売チャネルの整備が不可欠だと捉えている。デジタル化を推進し、従来のインフォマーシャルのデータに加え、SNSの口コミ、購買体験、LINEでのやりとり、コールセンターの音声データなどを統合していく。これらのビッグデータをAIで分析し、顧客一人一人にパーソナルなサービスを提供することを目指す。

顧客データの一元化は、マーケティングや接客、商品開発の全てにつながる。再現性のあるマーケティングプロセスを構築する上で重要だ。

これにより、単一商品の販売にとどまらず、顧客のライフスタイルを包括的にサポートする「ウェルエイジング」という新たな価値提案を目指す。

私は、サプライチェーンの担当としてキューサイに入社した。島根の工場やコールセンターの調整を通じて、コスト削減と収益性向上に貢献してきた。

今後はこの経験をマーケティングに生かし、B2Ⅽ事業において重要とされる「スピード感」を重視した商品提供の仕組み作りに注力する。

 

顧客理解を深めるデータ活用

――得られたデータをどう活用していくか。

当社では、顧客アンケートから得られる、意外な商品利用法や、潜在的な課題を収集している。それに加えて、SNSや店頭販売で収集した情報を統合し、「トレジャーデータ」として活用していく方針だ。

これにより、単なる商品提供ではなく、「ライフスタイルをサポートする」というウェルエイジングの概念を具体化し、顧客が年齢を重ねてもチャレンジし続けられるような情報発信を強化する。

 

課題克服とターゲット拡大

――キューサイが現在抱える課題は何か。

マーケティングにおける再現性の仕組み化が課題だ。これまで行ってきた収益性向上の取り組みを土台に、今後は、投資行動を変革し、売り上げの成長へとつなげていきたい。

商品開発のスピードアップと、ラインアップの拡充にも力を入れる。

私自身が60歳であり、顧客と同世代であることから、ウェルエイジング領域の未着手分野にも積極的に取り組んでいく。

現在の主要顧客層は60代以降だが、今後は40~50代の層への拡大を目指し、「コラリッチ ソア」や「ピオニア」といった新商品を展開している。

これらの商品は、肌の変化やエイジングリテラシー(年齢に応じた悩みの認識)に着目し、早期からのケアを促すことで、ウェルエイジングの考え方に共感してもらうことを狙う。

 

製造内製化でコストダウン


――さまざまなコストが値上がりしている。御社では、コストアップで生じる問題をどう解消しているか。

資材や物流費などはコストアップしているが、当社では、商品の製造の内製化や、社内業務の効率化を図ることによって、コストダウンを実現している。

具体的には、社内の役割分担を見直し、一人の担当者が複数の業務をこなせるようにしている。

それによって、待ち時間を削減し、発注から納品までのリードタイムを短縮している。

これにより、在庫を半減させ、倉庫スペースの節約や賞味期限切れ製品の削減につなげた。

一部製品の値上げが必要な場合でも、顧客への影響を最小限に抑えられるよう工夫を凝らしている。

例えば、2023年10月に実施した「ヒザサポートコラーゲン」の値上げ時には、2カ月に1回2個配送する仕組みを導入した。

その結果、物流費を削減しつつ、顧客の選択肢を増やすことができるようになり、解約数を抑えることにつながった。

 

――2025年12月期の進捗を聞きたい。

2024年12月期の売上高は255億円だった。

ここ数年横ばいが続いていたが、2025年12月期は順調に推移している。オペレーション改善によるコスト削減で「筋肉質の体質」を確立した。今後、マーケティングへの投資を強化し、さらなる成長を目指す。

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