テレビショッピング「ショップジャパン」を運営するオークローンマーケティングは、転換期を迎えている。2023年3月期の売上高は前期比15・5%減の395億500万円、営業利益は33億6100万円の赤字で着地した。Shop Japan Department 本部長の浅野茂樹氏は「前期は苦戦し、それを受けてさまざまコストカットを行った。今期は復調を見せており、来期に花を咲かせる準備期間だと捉えている」と説明する。浅野本部長に前期の振り返りと今期の状況、取り組みなどについて聞いた。
非常に厳しい一年
ーー2023年3月期は苦戦した印象を受ける。前期を振り返ってもらいたい。
厳しい年だった。通販業界はコロナ特需で業績が伸びた会社が多い。テレビ通販業界も同じで、「巣ごもり」により、家でテレビを見て、家での生活を充実させるため、テレワークグッズや快適に過ごせる商品を購入する人が多かった。
だが、現在ではコロナ禍は明け、家の中を充実させる商品を購入するよりも、外で買い物をしたり飲食をしたりする人が増えている。当社もこの影響を受けており、インフォマーシャルを放送しても、想定していた反応が取れなかったこともある。
当社は海外の人気商品を販売するため、海外のトレンドも重要になる。前期は海外でそこまでヒット商品がなかった印象だ。半導体不足などで生産が間に合わなかったことも関係していたのだろう。
その中で当社としては、テレビ放送枠を調整したり、固定費を見直したりして、コスト削減を行った。「前期のうちに悪いところは全て洗い出そう」と強く決めることにした。
ゼロからのスタート
ーー今期の状況はどうか?今期は先ほど話したようなコストを削減したことにより、利益は出て、売上高の減少も落ち着くと考えている。今期は「ゼロからのスタート」と捉え、売上高の回復が命題だと考えている。
現在は軽量コードレスハンディクリーナー「インビクタス ワン」の販売が好調のように、海外の人気商品をしっかりと「ショップジャパン」でも販売できている。今後も海外で人気の商品を多く扱っていけると考えており、来期に向けて仕込んでいる状況だ。
既存顧客との関係強化
ーー今期注力していることは新商品の発売ということか?新商品の発売とクリエーティブの磨き込み、既存顧客との関係強化に注力している。クリエーティブは「29分間のインフォマーシャル」と「新聞広告」のことを指す。どうしても「インフォマーシャル」を見るのはご年配の人になる。ご年配の人のお悩みを解決できる訴求を突き詰めていきたい。
会社として非常に重要だと思っていることが、既存顧客との関係強化だ。当社としては、テレビ通販は新規顧客の獲得、カタログなどの送付が既存顧客との接点を深めるものだった。今まで、テレビという媒体で勝負していたため、既存顧客との関係構築は少し弱い部分があった。
だが、事業を開始してから、顧客のデータも気が付くと1000万人以上のデータがある。現在、この1000万人の人にまた購入してもらえる仕組みの土台を作っている。来期には、その仕組みを始動させたい。
ーーその仕組みとはどのようなものなのか?
カタログやDMなど紙媒体を使って顧客との関係性を作っていく。今までだとテレビで売れている商品を掲載したカタログを送付していたが、それだけではない。テレビでも紹介していない、その顧客にとって最適な商品をカタログに掲載して紹介していく。
「顧客のお悩みを解決する」というポリシーにのっとって、商品数を拡充し、多くの顧客の悩みを解決できる商品を提案していく。