テレビ東京ダイレクトの新社長に久保田明氏が就任して半年が経過した。就任してから、より「お客さまファースト」を強化し、さまざまな施策を展開している印象だ。久保田社長は「就任に当たり、テレビ東京ホールディングス(HD)からは業績回復を期待されており、私としてもここは突き詰めていきたい」と話す。久保田社長に今期のこれまでの状況などを聞いた。
前社長は取締役会長に
ーー2023年6月に新社長に就任したが、遠藤孝一前社長のポジションは?
遠藤は変わらずテレビ東京ダイレクトに携わっている。役職としては取締役会長だ。遠藤のこれまでのテレビ東京ダイレクトに対する貢献度は高く、引き続き相談事があったらコミュニケーションを図ったりして、課題の解決に注力していく。
ーー久保田社長がテレビ東京HDから求められていることは?
それはやはり業績の回復だ。2020、2021年度の売り上げはコロナ特需もあり、好調に推移したが、2022年度は落ち込んだ。私としてもここは課題と認識しており、私だけではなく、会社全体でまた売り上げを伸ばせるように力を尽くしていきたい。
ーーテレビ東京ダイレクトの2023年4―9月期(中間期)の売上高は、前年同期比1・1%減の55億7900万円だった。減収要因について伺いたい。
第1四半期で見ると、案内した商品の販売が振るわなかったと感じている。「虎ノ門市場」など主力事業でうまく販売につなげられなかったことが痛かった。
それはいったいなぜなのか。恐らくほかのテレビ通販企業もそうかもしれないが、やはり消費者の購入場所が変化したことが関係しているのだろう。オフラインで物を買うようになり、通販で購入する人が減少した。家計が変わったと認識している。
中間期含めて減収に直結していることは、「虎ノ門市場」における定期購入の頒布会の落ち込みだ。理由としては、頒布会の途中キャンセルの受け付けが影響している。以前は途中キャンセルを受け付けていなかったのだが、数年前から、途中キャンセルの受け付けを開始しており、このことが減収に影響している。
今後、頒布会の会員数を増やすために、新商品の開発を定期的に行い、ヒット商品を生み出していきたいと思っている。確かに現在、苦戦しているが、最終的にはどれだけシニア層に寄り添えるかだと考えている。先ほど申し上げた頒布会における商品開発や、商品企画、番組制作、コールセンターなどでの顧客対応など、全ての取り組みで、お客さまに寄り添うことを徹底していく。
2023年からEC強化を
ーー頒布会の影響で減収とのことだが、ECには注力していないのか?
今年からEC運営に関するビジネスサポーターと一緒にECを強化している。消費者のオフライン回帰などでテレビを見ていないなら、ECサイトからの購入を目指そうと考えている。「『虎ノ門市場』は知らないが、なんか美味しそう」と思ってくれて購入につながることを期待している。
今までの当社のECサイトはテレビショッピングで電話がつながらないから覗いてみようといった、主に受注のために使用していた。だが、これからはそうではなく、きちんとECでも売り上げを確保できるように注力していく。
ーーECは食品EC企業も含め、競合が多くいる。他社とどう差別化を図っていくか?
当社では「記事コンテンツ」と読んでいるが、豊富なコンテンツを用意して、購入につなげていけたらと思っている。ウナギにしろ、おせちにしろ、生産の背景から調理工程まで、詳しく雑誌のようにストーリー性を持って掲載することで、気になってくれる人は出てくるはずだ。SEOの観点からも「記事コンテンツ」は重要だと思っており、うまく魅力が伝わるように徹底していく。