サントリーHDの9月2日の会見では、サプリメントの具体的な商品名や種類については明言されなかった。ただ、その時点からすでに「購入したのはCBDサプリ」との報道が目立つようになり、翌日には新浪氏自身が会見で、CBDサプリであることを認めた。
では、今回の一連の記者会見や報道は、国内のCBD市場にどのような影響を与えるだろうか。本紙ではこのほど、CBDの販売事業者や業界団体など、複数人を対象に緊急取材を実施した。
ECでCBDを販売する企業のA社長は、「実態は分からないが、CBDを含む大麻由来成分含有製品は、個人輸入であっても麻取(厚生労働省の麻薬取締官)への事前確認が必要だと認識している。そのプロセスやルールを知らずに、THCを一定以上含有するものを含め、日本の法令に適合していない製品を輸入している人はいるかもしれない」としていた。
製造者や販売事業者であれば、ルールやプロセスは知っていて当然のことだが、一般消費者であれば、知らない可能性は多いにある。「国内のCBD製品を使ってよかったから、海外製品も試してみよう」など、思いがけず違反してしまうケースもあるため、注意が必要だ。
CBDの業界団体代表のB氏は、「基本的に個人輸入は禁止だが、現実には、商品サンプルなどの名目で、少量であれば輸入できるケースもある。この事件は、業界に大きな影響を及ぼすことだと思う。法改正があり、業界がまとまりつつある状況だけに、水を差されなければよいが」と話していた。
海外製品は危険
CBDには、THCという成分が含まれる。そのTHCが急性的な不安感や恐怖感、記憶障害や幻覚作用などの影響をもたらすとされている。
日本は2024年12月に改正大麻取締法が施行され、CBD製品におけるTHCの上限値が設定された。その上限値は世界的に見ても、類を見ない低さとなっている。
国内でCBD原料を販売する事業者や、CBD製品を製造する事業者は、その〝類を見ない低い基準〟で原料や製品を展開しているため、国内製造のCBD製品については、世界でもトップレベルに安全性が高いといえそうだ。
一方、海外製品は日本基準で作られていない。そのため、「その国では大丈夫だが、厳しい基準を持つ日本では違法」となる可能性が高い。
国内のECモールでは、検査結果の提出が義務付けられているため、違法な海外製品を販売することはできない。だが、自社ECサイトなどでは、検査を経ていない、違法な製品を購入してしまう可能性もある。
現在、国内のCBD市場では、販売事業者や業界団体などで、ガイドラインの設定を図る取り組みが進んでいる。セミナーなども頻繁に開催され、「CBD市場をより健全に」といった動きが活発になっている。
今後は、事業者側だけでなく、消費者側のリテラシーを高めていくことも必要になっていきそうだ。