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2024.01.08

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【通販・EC 2023年 売上高ランキング】 TOP100位を公開 実質成長率は11.7% アフターコロナの影響受ける企業も


日本流通産業新聞が集計した「通信販売・通信教育売上高調査〈冬季〉」によると、上位530社の合計売上高1兆6782億6000万円だった。前期との増減率が分かる177社で算出した実質成長率は11.7%増となった。コロナ禍の巣ごもり需要拡大の影響を受けて、増収を継続している企業が多いものの、足元では売上高が横ばい、または減収に転じている企業が増えている。コロナ特需が明けて、多くの通販企業がコスト高や集客難の課題に直面している。
【売上高ランキングTOP100は記事の最後に】



アマゾンは物流に磨き

1位のアマゾン(日本事業)の売上高は、米アマゾン・ドットコムの2022年12月期における日本事業の売上高243億9600万ドルに対して、2022年の平均為替レート(1ドル=131円)で円換算して掲載した。マーケットプレイス出品手数料や、有料会員サービスの年会費などの売上高を含む実績となる。



アマゾンは圧倒的な販売力と強固な物流インフラを武器に、年々、流通額を拡大している。今年6月には、関東で新たに二つの物流拠点を新設すると発表した。この拠点拡大により、全体の商品保管容量は1700万立方フィート以上となり、国内のフルフィルメントセンター数は25カ所以上となる。物流のキャパシティーは他のプラットフォームと比べても群を抜いている。

物流拠点に加えて、自前の配送ネットワークも拡充し続けている。

2023年10月には、個人事業主が配送に参加できる「Amazon Flexプログラム」において、軽乗用車による配達を可能にした。国土交通省の貨物軽自動車運送事業における軽乗用車の使用の解禁に伴い、より多くの人が「Amazon Flexプログラム」に参加できるようにした。

配送ネットワークを強化することで、拡大する流通量に対応できるようにしている。


高成長企業の要因は?

今回のランキングで大幅に増収している企業をピックアップすると、1位がファーマフーズグループの明治薬品で、増収率は156.7%増だった。指定医薬部外品の「ラクトロン錠」や機能性表示食品の「シボラナイトGOLD」など、効果をうたえる商材の販売促進を強化し、高い増収率を記録した。

2023年12月に東証グロースに上場する、ストリートブランド運営のyutori(ユトリ)は、前期に51.3%の増収を遂げている。ZOZOと資本業務提携を結んでいるが、販売チャネル別の売上構成比をみると、自社ECサイトが51.4%、「ZOZOTOWN」が31.5%、店舗などが10.3%、卸販売が6.1%となっている。

大幅成長の鍵を握るのは、SNSマーケティングだ。消費・トレンドに対する高い洞察力を生かし、SNSでの情報発信や、インフルエンサーと協力体制を強めていることが、多くのファン獲得につながっている。

増収率の高い大手企業も目立つ。スーパーマーケットを展開するライフコーポレーションのネットスーパー事業の増収率は48.5%だった。しまむらの増収率は46.4%となった。EC展開が遅れていた大手が本腰を入れたことで、大きな成長を遂げている。

リアル、越境に注目


今後はリアルや越境ECをうまく活用できた企業が、売り上げ成長を継続できるだろう。

28.7%の増収を記録したアパレル大手のパルは店舗スタッフのコンテンツ活用に秀でている。28.8%増のニトリもスタッフによるライブコマースを積極化している。

為替の変動は多くの通販企業にとって逆風だが、海外販売に強い企業には追い風になる。

中古車をアフリカや中南米など向けに越境EC販売するビィ・フォアードは、売上高を前期比33.0%増と伸ばし、1000億円の大台に乗った。中国向け越境ECが得意なアクシージアも38.2%の高い増収率を記録している。

リアル回帰や円安基調はまだ、しばらく続く見通しのため、これらの企業の取り組みは、売り上げ拡大のヒントになりそうだ。







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