年2倍のASEAN
サイバーレコードは、ふるさと納税支援やEC運営代行を主力事業として展開、国内市場に強固な基盤を築いてきた。
中期戦略としてIPOを見据えており、新たなビジネスモデルの構築を図っている。その一環として注目しているのが、東南アジアを中心とした成長市場だ。ASEAN地域のEC市場は日本の約2倍に拡大し、インドネシアやベトナムでは年20%超の成長が続いている。
こうした旺盛な需要を背景に、日本企業の商品を、現地の消費者に届ける仕組みづくりを進めているのだという。
提携の柱となるのが越境EC支援だ。ShopeeやLazada、TikTok Shopといった現地で利用できる大手ECプラットフォームを通じて、日本の食品、化粧品、ヘルスケア、アニメ関連商品などを販売していく。さらに、スーパーやコンビニなどの小売チャネルも組み合わせ、オンラインとオフラインを融合した販路を築くという。
これにより、これまで商社に取り扱われにくかった、中小企業の商品も、海外市場に流通させることが可能になるとしている。
特に、訪日観光客が母国で再購入できる環境を整えることにより、インバウンド需要を、「持続的な輸出」に結びつけることができるという。
サイバーレコードに越境ECの支援を委託した場合、国内の指定倉庫に商品を配送するだけで、海外への拡販が可能になるという。流通の流れとしては、サイバーレコードが国内事業者から商品を買い取る形になるそうだ。
SaaS事業の展開も加速させる。プライムコマースはマレーシアで統合型EC管理プラットフォームを展開しており、商品・在庫・受発注・マーケティング・自社サイト構築・顧客の管理を一元化できる。こうした利便性の高さが評価され数千社が導入している。
低コスト・極小リソース
今回の提携により、このシステムを日本市場向けにローカライズ。サイバーレコードのEC運営・販売ノウハウを加えて提供することになったという。
これにより、日本の事業者は、「複数モールの同時運用」や「在庫管理の煩雑さ」といった課題を、低コスト・極小リソースで解消できるようになるという。中小企業にとっては、システム投資の負担を抑えつつ、国内外でスピーディーにEC・オフライン販売を加速できる点が、大きな利点となるとしている。
両社は、ベトナムの開発リソースを活用し、オフショア開発体制を整える。そのため、新機能の実装やUI改善、AIを活用した需要予測、物流最適化などを迅速に進められるという。開発コストを抑えつつ高機能なサービスを提供できる点は、利用企業にとってもメリットが大きそうだ。
サイバーレコードでは既に、数百社の商品登録を進めており、6月からは、ベトナム・マレーシア・シンガポール・中国・北米で、ライブコマースを含むECと、小売チェーンなどの店舗での販売を開始している。各地域で事業を拡大していくという。ふるさと納税支援で培った、地域企業とのネットワークを、越境EC・実店舗での販売につなげ、地方発の商品を世界に届ける構想だという。