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2025.10.10

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健康食品

【健康食品開発の裏側】ファンケル マーケティング戦略統括オフィス 健康食品事業本部 ウェルエイジングブランド 部長 向山嘉一氏、「ファンケルならではの内外美容を追求」

向山嘉一氏


ファンケルは、市場で長く愛されるロングセラー製品を続々と生み出している。同社の開発の体制や、ヒット商品のリニューアル戦略などについて、同社の健康食品事業本部ウェルエイジングブランド部長の向山嘉一氏に話を聞いた。






──健康食品の新成分の研究開発から商品開発に至るまで、どのような体制を構築しているのか聞きたい。

当社は通販事業を展開しているので、お客さまの声をシステムで抽出し、ニーズを把握している。これは通販会社共通の利点だと思う。

さらに当社は通販だけでなく、卸売りも売り上げの3割ほどを占めている。そのため、一般の流通で商品を購入しているお客さまの声も非常に重要視している。定量調査も定性調査も両方実施し、そこから声を拾い上げている。


売上計画比約400%で推移


──機能性表示食品「ウェルエイジ プレミアム」について聞きたい。4月に発売したが、売り上げが計画比約400%で推移し、人気のあまり、6月には一時的に販売を停止したほどだと聞いた。大ヒット製品は、どのような経緯で開発に至ったのか?

「ウェルエイジ プレミアム」には、「キンミズヒキ由来アグリモール類」が含まれている。約10年前の2015年頃、脳機能素材の探索研究の中で、当社の素材ライブラリーから、「キンミズヒキ」を発見した。

その後、さらに研究を進めると、老化細胞の除去というメカニズムを発見した。ここまで7~8年を要している。

この機能の発見後、2021年頃から「この機能をどう商品化するか?」というものづくりが始まった。そして、お客様調査などから得たニーズと素材をひも付けて、商品開発を進め、今年の4月に「ウェルエイジ プレミアム」として発売できた。開発全体で10年かかった計算になる。

3月下旬に商品発表会を開催し、4月17日の発売に向けて商品を披露した。ファンケルがこのような研究開発をしていること、キンミズヒキにこのような機能があることを先行して発表し、話題作りを図った。大反響を受け、予約販売を開始することで、極力お客さまを待たせないように工夫も行った。

「キンミズヒキエキス末」は、安全性と有効性の観点から独自の規格基準を設け、専用に製造している原料である。有効成分「アグリモール類」の安定した抽出には、高度な技術と、繊細な管理が求められる。当社では、原料の栽培から成分の抽出まで、一貫して品質にこだわり、安定した機能性と品質の確保に努めている。

お客さまに「ウェルエイジ プレミアム」を安定的に提供していくため、一時的に販売を停止したが、現在公式サイト「ファンケルオンライン」では、定期便限定で販売を再開している。本格的な再販は今秋以降を予定している。


二つのターゲット層に注力


──今後、健康食品事業の展望は。

大きく分けて二つのターゲット層、(1)プレシニア層(55歳~64歳)(2)40~50代の女性─に注力していく。

一つ目のプレシニア層(55歳~64歳)だが、「キンミズヒキ」のサプリメントをしっかり確立していくことが最重要課題だ。既に機能性表示食品の届け出も完了しているが、「老化細胞に着目」した製品として、パッケージにもそのコピーを大きく入れることで、販売再開後には継続的に訴求していく。

40~50代の女性に向けては、健康食品事業だけでなく会社全体として、「新しい内外美容」に取り組んでいく方針だ。化粧品・健康食品の両事業を有していることは当社の強みとなっている。これまでは、化粧品・健康食品のそれぞれの独立したアプローチで「美容」を捉えてきたが、今後はその概念を変え、両事業を持つ”ファンケルならではの内外美容”を追求していく考えだ。例えば、「サプリメントを飲み、化粧液をつける」というようなステップや習慣の提案などが挙げられる。「ファンケル流に何ができるのか?」ということについて、健康食品・化粧品といった部門を横断して検討・連携を図っている。

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