アスクルは同日、「ランサムウェア感染によるシステム障害発生のお知らせとお詫び(第1報)」を発表した。すでに受けた注文についてもキャンセル対応している。10月21日時点でシステムの復旧や受注・出荷再開のめどはまだ立っていないようだ。復旧のめどが立ち次第、改めて案内するという。
「無印良品」を運営する良品計画も10月20日、ECサイトの受注・出荷を10月19日から停止していると発表した。ECサイトの商品配送をアスクルの物流子会社であるASKUL LOGISTに委託していることが停止の要因だと説明している。
ロフトも10月20日、ECサイトの受注を停止したと発表した。ロフトもECサイトの物流業務をASKUL LOGISTに委託しているという。
復旧後も尾を引く可能性
アスクルは10月17日から、「LOHACO」においてコスメ・ヘアケアのセールイベント「LOHACO COSME DAYS」を開催していたが、サイトの受注停止により、イベントにおける販売も止まってしまった。イベントは10月27日までの予定だった。
「無印良品」はECサイトの停止に伴い、公式アプリ「MUJIアプリ」の月額定額サービスの申し込みなどさまざまな機能も利用できない状態に陥っている。
10月24日~11月3日に実施予定の会員向けセールイベント「無印良品週間」は、ECサイトでは実施せず、店舗のみで開催することにした。
広がる障害の余波
アスクルは本紙が実施している直近の通販売上高ランキングにおいて、Amazonに次ぐ、2位の売上規模を誇る。今回のシステム障害により、損失は計り知れない。
さらに、アスクルはオフィスや医療機関、教育機関、店舗、サロンなど、さまざまな事業者にとって、消耗品や必需品を購買するインフラとなっている。業種によっては他の法人向け通販サービスに切り替えて、必要な商品を購入することもできるが、医療用品などは特殊性も高く、すぐに切り替えできないものもあるようだ。
今回のシステム障害により、法人向け購買サービスを一つに絞るリスクを懸念し、複数のサービスを併用する企業が増える可能性がある。法人向け通販でトップの座を確保しているアスクルにとって、機会損失を招く事態に陥りそうだ。システム復旧後もそのマイナスの影響は尾を引くだろう。
