ニナファームジャポン(本社東京都)は、現場が抱える課題に合わせてトレーニング内容を柔軟に組み立てている。今年は動きが活発で、4月からは、ピンレベル別のトレーニング「ラピス・サファイヤトレーニング(LST)」を2日間から1日に短縮。7月には昨年は休止していた「新規事業説明会」を事務局の主催で復活させた。8月と9月には「プレゼンテーショントレーニング」を福岡、大阪、東京で新たに開催し、11月には北海道でも行う予定にしている。各回とも200人前後が参加するなど関心が高い。
この「プレゼンテーショントレーニング」は、ビジネス初心者向けの内容で、アプローチとアポイント獲得に課題を抱える会員を対象にした。対面で提案する時間については、製品説明を含めて1時間以内に収まるようなスキルの獲得を目指した。「個々の会員のスキルに頼りすぎると再現性に課題が出てくる」(NB事業本部)と言い、ビジネススキルを平準化することで属人化を防ぐ狙いもある。今後は、より上位会員向けに「クロージング」に特化したトレーニングの導入も視野に入れている。
ペレ・グレイス(本社東京都)は、地方における組織の活性化を主眼に置いたトレーニングで着実に成果を得ているようだ。北海道、九州、四国に本社のスタッフが出向き、組織の立ち上げに積極的に関与している。
北海道では本社主催のトレーニング「フロンティアミーティング」を通じて、6月に地域初のビジネスリーダーが誕生したことで組織が拡大している。2024年に組織強化を図った福岡では10月に「一般社団法人マイクロバイオーム解析推進協会」への加盟を記念した「マイクロバイオームセミナー」を開催した。
静岡県では9月にビジネストレーニング「国内1泊研修」、10月に国内研修旅行ツアー「北海道2泊3日の旅」を相次いで行った。
9月の1泊研修は、スキンケア体験会「手洗い会」によるリクルート強化を目指した。独学に頼りがちなスキンケアについて、正しい方法と知識を習得することを目的に据えた。「正しい方法」について動画を見ながら繰り返し習得できるロールプレーイングで新規獲得につなげる。
動画で本社の考えを
動画コンテンツを使って社長が会員に直接情報を配信する試みも増えてきた。
トルマリン(電気石)を原材料に使った健康機器や寝具などを販売展開する東京トルマリン(本社東京都)は今年9月から、林栄治社長によるオンラインのビジネストレーニングをユーチューブで配信を始めた。
オンライントレーニングは毎週木曜日の午前中に実施していたが、参加者が限定的だったため、「自宅で好きな時に見られるようにするためユーチューブでの配信を始めた」(林社長)。今後は商品に関する内容や会員に関する動画コンテンツも増やしていく考えだ。
オンラインに取り組む一方で、リアルのセミナーへの動員強化にも乗り出している。
会員による現場でのスキルに頼るのではなく、本社がセミナーを主催することで製品情報に触れる機会を増やし、知識を深めてもらい、次のリクルートにつなげる狙いだ。林社長は「正しい情報をきちんと理解してから購入してもらうことで新規の紹介につなげたい」と話す。
また、10月からはセミナーに初めて来場した人への特典として、トルマリン鉱石(セラミックボール)や、コメ農家の会員が育てた「トルマリン米」をプレゼントするキャンペーンも始めて会員のモチベーション作りに役立てている。
さらに、同社の全ての商品が体験できるイベント「大充電展示会」を、月1回のペースで本社やつくば支店のサロンで継続的に開催し、顧客との接点を作っている。化粧品を使ったエステ体験などが行われており、「既存会員が展示会を通じて登録につなげている」(林社長)と手応えを感じている。
N・Dプラセンタのサプリメントや化粧品などを販売するEアファン(本社愛知県)は、動画を使ったリクルート支援に力を注ぐ。今年に入ってからはユーチューブに「Eアファンちゃんねる」を立ち上げた。
当初は製品に関する質問や書類手続きを説明するためのツールとしてきたが、今年5月からは藤原さなえ社長自らが会社の理念を伝えるコンテンツ「さなえは味方」をスタートし、月2回ほどのペースで動画を配信している。藤原社長が直接話すことで「当社のファンになってもらい、推し活のきっかけにしてもらいたい」としている。
こうした動画について、リーダーが「毎日見てほしい」と助言していると、製品やビジネスへの理解を深める会員が増えてきたという。藤原社長は「動画を見ることで一歩でも踏み出せるきっかけになれば」と活用の広がりに期待を寄せる。
従来の「Eアファン勉強会」によるトレーニングとともに、より進化した勉強会もスタートさせる予定だ。
報酬プラン改定を機に強化
報酬プランの刷新をきっかけに、ビジネス志向の会員の拡大を目指す企業もある。
有機アロエベラを原料にしたジュースや化粧品を販売するハーモニーグリーン(本社東京都)はこのほど、5カ年の中期経営計画の中で新規会員数10万人獲得を目標とした「(心・体・経済)健康化プロジェクト」を発表した。その一環として今年10月、ビジネス活動のしやすさを目的に報酬プランを改定した。リクルートキャンペーンのほか、製品の強みを前面に押し出し、コミュニティーづくりを通じて組織拡大を図る。
ビジネス志向の会員を増やすため、報酬を得るために必要な紹介人数などを明確にし、リクルートに取り組みやすくした。また、プラン説明が苦手な会員のために用意した報酬プランについての説明動画は、「NBを仕事として捉えてもらいやすくするため、説明のしやすさに主眼を置いたシンプルさを追及した」(藤原宏輔社長)。
”脱属人化”で次の成長
正社員の営業マンは、会社で研修やロールプレーイングを重ねるのが一般的だが、個人事業主によるNBでは、営業手法の伝え方がリーダーや会員任せになりがちで、その中身が属人化してしまいノウハウが共有できない懸念があった。
コンプライアンスを含めて時代が変化していく中で、個人の力量に頼った従来型の提案手法は通用しなくなっている。主宰企業が主体的にトレーニングの仕組みを構築、さまざまな形で実施しながら、組織拡大を目指すことが今後の成長には欠かせないといえる。
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