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2025.10.28

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【販売員の口コミはステマの恐れ】消費者庁が改めて見解示すも処分事例はまだなし

ステマ広告 違法認定の事例一覧

消費者庁はこのほど、本紙の取材に対して、訪販の販売員やネットワークビジネス(NB)の会員が、SNSに、自分が扱う商品の好評価につながる口コミの投稿を行う場合、「ステマ広告に該当する可能性がある」という見解を示した。一方で、2024年から施行されたステマ広告のこれまでの処分では、訪販の販売員やNB会員などによる好評価の口コミの投稿そのものが違法と認定された事例はまだない。ステマ広告に詳しい弁護士は、「その商品の販売員であることが、その投稿を見た人にとって明らかであれば、ステマにはならないのではないか」という見解を示した。


アフィリエイターに近い


いわゆるステマ規制について、違反や、その疑いが指摘されるケースが増えている。

消費者庁は8月28日、ホットヨガスタジオなどを運営するLAVA International(ラバインターナショナル、本社東京都)に対して、景品表示法に基づく、確約計画の認定を行ったと発表した。この件では、従業員が自ら星5の口コミを投稿したことについて、「違反の疑いがある」とされた。従業員によるステマが公表されたのは初めてだった。

訪販の販売員や、NBの会員が行った好評価の投稿も、ステマ規制違反に問われることがあるのだろうか。

この点について、本紙はこのほど、消費者庁に対して、「企業と業務委託契約などを結ぶ販売員が、SNSなどにおいて、販売する商品の好評価につながる投稿を行った場合、ステマ広告に該当するか」という質問を行った。これに対して消費者庁は、「ステマ広告に関する運用基準では、『販売員』を想定する規定はないが、『アフィリエイター』による表示と近しいと考えられる」(表示対策課)という見解を示した。

ステルスマーケティングに関する運用基準では、「事業者が第三者をして行わせる表示について」に関して、「事業者がアフィリエイトプログラムを用いた表示を行う際に、アフィリエイターに委託して、自らの商品又は役務について表示させる場合」という項目を設けている。

第三者が行う広告について、事業者が第三者に表示内容を指示していない場合でも、「第三者が事業者と一定の関係性があれば、事業者の表示かどうかを総合的に判断する」という旨の規定も設けている。

つまり、訪販の販売員やNBの会員が、商品の好評価の投稿をSNSに行った場合、本社が指示していなくても、ステマ広告に該当する可能性があるとみられる。


「販売員の投稿が違法」はまだない


2024年から運用されているステマ広告について、これまでの処分事例や、確約計画の認定事例を見ると、訪販の販売員やNB会員がSNSなどに投稿したことを違法として認定した事例は、まだない。

これまでの処分・確約計画の事例では、インフルエンサーなどの第三者が事業者に依頼されてSNSに好評価の口コミの投稿をし、その投稿内容を、広告であることを明らかにしない状態で、事業者が自社サイトに引用したケースが6件あった。

その他に、グーグルマップなどの口コミサイトに、割引などを条件に消費者に好評価の投稿をさせた事例が3件。事業者の従業員が好評価の口コミを投稿した事例が1件あった。

自社サイトへの口コミの転載が違法もしくは、その疑いがあると認定される事例が多いことについて、景品表示法に詳しい、東京神谷町綜合法律事務所の、成眞海(せい・しんかい)弁護士は、「自社サイトに表示されていなければ、消費者庁としても、結局のところステマかどうか判別できないということではないか」と話している。

訪販の販売員やNBの会員の、ステマ規制による処分事例がないことについて成弁護士は、「販売員のSNS上の投稿については、その人が販売員であることがそもそも見る人にとって明らかであれば、『PR』表記がなくてもステマにならないのではないか」ともしていた。

例えば、アカウントのプロフィールや過去の投稿などから、ある会社の販売員として活動していることが明らかに分かる場合や、容易に想定できる場合であれば、「自分が売っている商品を宣伝している」といったことが、投稿を見た人に明らかであるため、ステマにならない可能性があるそうだ。

販売員であることが容易に分からないアカウントであれば、ステマに該当する可能性があるとしている。

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