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2025.11.06

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【コンタクトセンター特集】アルティウスリンク 取締役執行役員兼法人ビジネス第1統括本部 副統括本部長 中西美穂子氏、「今後は親会社のアセット活用を強化」

中西美穂子氏


アルティウスリンク(本社東京都、那谷雅敏社長)の2025年3月期の売上高は、前期比4.9%減の2270億円だった。取締役執行役員兼法人ビジネス第1統括本部 副統括本部長の中西美穂子氏は、「概ね想定していた通りの売上高だった」と振り返る。今期以降は親会社であるKDDIと三井物産のアセットを柔軟に活用して、さらなる売上高の拡大を狙う。中西取締役執行役員に前期の振り返りと、今期の注力点、今後の展望などを聞いた。




──前期を振り返ってほしい。

2025年3月期の連結売上高は約2270億円で、概ね想定通りの着地となった。同じ規模の二つの会社が一つになるという大きな変化の中で、社内制度の整備や新サービス開発を優先し、非常にチャレンジングな1年だった。全社員が一丸となって変革に取り組み、乗り切ったと感じている。

業界全体として、従来の電話対応を中心としたコンタクトセンター業務は、生成AIをはじめとするデジタル化の影響で縮小傾向にある。当社もその流れを受けつつ、新たに注力しているバックオフィス領域や、デジタルBPOサービス「Altius ONE」でしっかりとカバーし、全体業績として、ほぼ横ばいを維持できた形だ。


──デジタル化によって従来の電話業務が減る中、どのような成長戦略を描いているのか。

当社の戦略の核は、単なる業務代行から脱却し、お客さまの事業成長に貢献する「価値創造型」のパートナーへと転換していくこと。そのために、いくつかの重点領域を設定している。

一つは、先ほど申し上げたバックオフィス領域の強化だ。特に経理や人事給与、総務などの専門性が求められる「コーポレートBPO」に注力している。2025年9月には、PKSHA Technologyと共同でバックオフィスBPO領域において、AIエージェントを活用した共同AIソリューションの提供準備を開始した。初期展開としては、ITヘルプデスクや金融機関のバックオフィス業務を中心に提供を開始する予定だ。

そしてもう一つが、親会社であるKDDIと三井物産のアセットを最大限活用すること。これが当社の最大の差別化要因だと考えている。

──具体的にどのように親会社のアセットを活用するのか。

KDDIとの連携では、彼らの強固な通信インフラと当社のBPOサービスを組み合わせた包括的なソリューションを提供できる。一方、三井物産との連携では、彼らが持つグローバルなネットワークや、先進技術を持つ企業への出資ポートフォリオが大きな力となる。

特に、三井物産の子会社であるMBKデジタルとの協業は、データ活用やAIコンサルティングの面で今後重要な役割を果たすと考えている。また、当社としても新たに顧客の声を収集・分析できる「Altius ONE Data Platform VOX」の提供を開始しており、お客さまのコンタクトセンターに蓄積された「声」や業務データを分析し、商品開発やマーケティング戦略に生かすといった、より高度な価値提供ができるようになる。

──BPO業界の競合環境も大きく変化しているように見える。

まさにその通りで、当社は現在、同業のBPO企業ではなく、大手コンサルティング企業の動向を意識している。彼らは、企業の経営課題という最上流のコンサルティングから入り込み、その解決策としてBPOを提案し、近年ではその実行部隊までを自社で構築するという「上流から下流までの一気通貫モデル」を確立している。

お客さまからすれば、課題の分析から解決策の実行までを一社に任せられる方が効率的で安心できるだろう。当社がこれまでのように「実行」の部分だけを担う「待ち」の姿勢では、彼らと戦うことはできないとみている。

──その点に関して、どのように対応していくのか。


当社も、より上流工程へと踏み込む必要がある。お客さまのご要望に応えるだけでなく、業務プロセス全体を分析し、課題を特定し、デジタル化も含めた最適な解決策を提案する。このようなコンサルティング能力を身につけることが急務である。

幸い、当社には日々お客さまの業務に深く入り込んでいるため、現場のリアルな知見を持っている。

──今後の展望について教えてほしい。

当社はKDDIと三井物産という強力なバックボーンを生かし、デジタル技術と専門人材を融合させた「価値創造型BPO」のリーディングカンパニーを目指していく。お客さまの業務を効率化するだけでなく、データ分析を通じて新たなビジネスチャンスを創出したり、事業全体の変革を支援したりと、企業にとってなくてはならない戦略的パートナーになることを目指す。


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