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2025.11.11

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【変貌を遂げるコンタクトセンターのDX】ビーウィズ、サービス浸透が進む 「Omnia LINK」がDXの中核に

執行役員CDOIT基盤部長・伊東雅彦氏

東証プライムに上場しているビーウィズでは、自社開発のクラウドPBX「Omnia LINK(オムニアリンク)」がDXの中核となっている。生成AIを始めとする最新技術を現場の課題解決に直結する形で迅速に実装することができる。通販事業者にも「Omnia LINK」が浸透しているという。

トータルテレフォニーソリューション「Omnia LINK」は、コンタクトセンター運営における課題とニーズを把握し、最適かつ効率的な運営を支援する。電話の受発信や通話録音のほか、IVR(電話自動応答システム)や高度なコールフロー、音声認識機能による対話のリアルタイムテキスト化やFAQレコメンデーションなどの最新機能を搭載している。オペレーターの生産性向上と応対時間の短縮に貢献できるソリューションだという。

「Omnia LINK」の最大の特徴は、自社開発のため、現場の課題を即座に反映できることだ。その代表例が顧客との通話をリアルタイムでテキスト化する「Speech To Text(STT)」だ。

「従来、スーパーバイザー(SV)はオペレーターの応対品質を管理するために、ヘッドセットで通話を聞く『モニタリング』業務を行っていたが、これでは1人ずつしかモニタリングできない。だが、『STT』によって、複数オペレーターの会話をテキストとして同時に画面表示することで、SVは1人で10人、20人というチーム全体の状況を俯瞰的に把握できるようになった」(執行役員CDOIT基盤部長・伊東雅彦氏)と話す。

さらに強力なのが、特定のキーワードを検知して、アラートを発令する「キーワードアラート」機能だ。顧客が「解約したい」という言葉を発した瞬間に、SVの画面上で赤く光る。SVはすぐにその会話のテキストを確認し、「このお客さまにはこちらの代替案を提案してください」といった具体的な指示を、チャットでオペレーターに連絡する。

「これは近年、深刻化しているカスタマーハラスメント対策にも絶大な効果を発揮する。暴言や罵声をキーワードとして登録しておけば、SVがいち早く事態を察知し、オペレーターを守るための介入が可能になる。単なる業務効率化だけでなく、従業員が安心して働ける環境も構築できる」(同)と説明する。


LTV向上にも寄与


AIがオペレーターの業務に大きな変化をもたらしている。これまでオペレーターは顧客との会話が終わったあと、その内容を要約してシステムに手入力する作業に多くの時間を費やしていた。だが、「STT」でテキスト化された通話内容を生成AIが自動で要約する機能によって、今ではわずか30秒で作業が完了する。

導入先の通販事業者では、AIによって作業効率化を図ったことで、手が空いたオペレーターがロイヤルカスタマーに対して、フォローアップコールをする取り組みや、休眠顧客へのアプローチを開始していたりするという。既存顧客への取り組みを厚くすることで、顧客のLTV(顧客生涯価値)向上にもつなげている。

「AIの台頭で、簡単な問い合わせが減少した分、オペレーターはより専門的な知識を要する応対に時間を割けるようにもなった。結果として顧客満足度の向上にもつながっている。効率化によって生まれたリソースを守り(コスト削減)から攻め(売り上げ向上・CX向上)の活動へと投資できている」(同)と話す。


AIエージェントを開発


ビーウィズは2024年11月、問い合わせをウェブで対応するAIエージェント「Tetory(テトリー)」の提供を開始した。企業のサービスページに「Tetory」のAIチャットボットを設置することで、オペレーターによる有人対応の割合が64%減少した事例も出ているという。

「Tetory」は、生成AIを活用したチャットボットで高精度なFAQを提供し、的確な回答を提案する。

「従来のチャットボットはあらかじめ設定されたシナリオやキーワードにしか反応できない『シナリオ型』が主流だった。そのため、少しでも想定外の言葉が使われると『分かりません』と返答し、結局、有人対応に誘導せざるを得なかった。一方『Tetory』は生成AIを導入しており、お客さまが自由に入力した文章の意図を解釈することができる」(同)と話す。

例えば化粧品販売サイトで顧客が「顔がテカテカするんだけど」と入力したとする。従来のチャットボットでは、「テカテカ」というキーワードが登録されていないと対応できないが、「Tetory」は文脈から「これは脂性肌に関する悩みだな」と判断し、脂性肌向けのFAQを提示する。

「Tetory」に寄せられる質問は、それ自体が貴重なVOC(顧客の声)となる。

「どのような質問が多いのか、どのような言葉でお客さまは悩みを表現するのか、それを分析することで、FAQをより分かりやすく改善したり、ウェブサイトの導線を見直したり、さらには新たな商品開発のヒントを得ることもできる。お客さまの自己解決率を高めると同時に、ビジネスを改善するためのインサイトを得ることも可能だ」(同)と話す。

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