関西電力のグループ企業であるかんでんCSフォーラム(本社大阪府、藤友英教社長)は、コールセンターのBPOサービスを提供してきた。有人のコールセンターだけでなく、コンタクトセンターの構築・開発・保守の支援サービスも提供している。豊富な現場経験に裏打ちされた、CX向上を実現する提案力や、高い技術力を持つ人材による手厚いフォロー体制が大きな強みとなっている。有人コールセンター対応に加え、AIを活用したサービスも組み合わせ、デジタルイノベーションの促進を支援している。同社の経営本部経営管理部長兼営業本部ソリューション事業部デジタルイノベーショングループ部長を務める平田和義氏に話を聞いた。
──御社のコールセンター事業について聞きたい。2025年3月期業績が増収増益だったということだが。
増収増益については、各事業が手堅く伸びた結果だ。
当社のコールセンターについては長年、インフラ事業のカスタマーサポートの中で、365日24時間対応してきた実績がある。
コールセンター事業においては、デジタルサービスと有人対応とを組み合わせる形で、DXを促進するサービスに注力している。クラウド型コンタクトセンターシステム「Genesys Cloud(ジェネシスクラウド) CX」による、コンタクトセンターの新規構築や運用、保守など、支援サービスを提供している。
オールインワンの機能
──「Genesys Cloud CX」とは。
AIを活用したクラウド型のデジタルカスタマーサービスだ。通販事業者をはじめとした多数の企業に、導入・設定支援を行ってきた実績を持つ。
「Genesys Cloud CX」は、コンタクトセンター運営に必要な多様な機能をオールインワンで搭載している。クライアント企業の要望に応じて柔軟な開発を提案できるのが特長だ。
電話だけでなく、チャット・メール・SMS・各種SNSなど、さまざまなチャネルの対応を一つのツールで管理できる。クラウド型なので、在宅勤務にも対応可能だ。月額利用料の変動に対応する柔軟な料金体系となっており、急な増員にも対応できる。
通話録音・画面録画から、CRMの統合、コール予測、レポート、応対品質管理、コールセンタースタッフのシフト管理までを行える。
各機能を一元管理できるダッシュボードも、導入企業の要望に応じて、カスタマイズして提供している。
「Genesys Cloud CX」をベースに、話し中の際に別の電話に接続する「話中時迂回」サービスなど、独自のアプリケーションの開発・提供も行っている。
「話中時迂回」では、対応しきれなかった「あふれ呼」の転送を自動で行う。自動化による業務効率化・ミスの防止を実現できる。
週1回の定例会も
──手厚いフォロー体制についても聞きたい。
当社では2016年に、BPO事業者として、「Genesys Cloud CX」を自社に導入した。2022年からは、リセラー契約を締結して導入支援を開始。現在は、公式認定試験の合格者を多数擁しており、保有資格は総計約30件にのぼる。専門性の高い人材によるサポート体制を整えている。
豊富な導入支援の実績と、自社で培ったコンタクトセンター運営のノウハウを生かし、導入企業に対してきめ細かなサポートを提供している。
企業によっては、週1回の定例会を実施し、運用状況の共有や改善提案を行うケースもある。全国各地の拠点に社員が直接赴き、現場研修を行うこともあるなど、実践的な支援体制を構築している。
AI活用を推進
──AIを活用したコールセンター支援サービスも提供していると聞いたが。
当社ではさまざまな支援サービスを提供しているが、例えば、AIボイスボット「Leo Kani(レオカニ)」がある。電話をかけてきた顧客に、AIが音声で自動応答し、通販の受注対応などを行うものだ。音声認識率は97.4%。入念なチューニングを行って実現した、音声認識の精度の高さが強みとなっている。
ボイスボットは24時間365日稼働するため、インフォマーシャルによる「集中呼」にも対応できる。新聞広告の通販で活用された際には、大幅なコストカットや、アップセル・クロスセルにつながった事例もある。
このたび、現場の声を吸い上げてブラッシュアップした「Leo Kani 2.0」をリリースした。
当社で提供しているFAQ対応できるAIサービス「AIエージェント」と、AIボイスボット「Leo Kani」とを組み合わせた運用も可能だ。
生成AIを活用した、リアルタイム多言語翻訳サービス「Leo Kani Simul(サイマル)」の提供も開始した。50以上の言語に対応しており、自然な同時通訳が可能だ。利用する生成AIは複数の選択肢から選ぶことができる。
──今後のコールセンター支援の展望について聞きたい。
AIボイスボット「Leo Kani」や、AIエージェントなど、AIを活用したサービスをコールセンターに導入することを通して、より効率的で、かつお客さま満足度を高められるような、最高のCXを実現することを目指していきたい。
