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2025.11.11

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【コンタクトセンター特集】 ジュピターショップチャンネル、センター運営が進化 勤務体系の変化やデジタル化を加速

マーケティング本部コンタクトセンター部長・赤石智子氏

ショッピング専門チャンネル「ショップチャンネル」を運営するジュピターショップチャンネル(本社東京都、小川吉宏社長)では、コンタクトセンターの運営が進化している。業界の課題である人材採用に関して、「選択シフト勤務」をメインに採用活動を行ったり、顧客対応のデジタル化を推し進めている。

ジュピターショップチャンネルでは、本社とは別に東京・中央区日本橋箱崎町と大阪・淀川区新高でコンタクトセンターを運営している。東京センターの席数は250席、大阪センターの席数は110席だ。

通販企業において、コンタクトセンターで働くスタッフの採用は困難を極めている。同社も例外ではなく、人材の確保は常に重要な経営課題だという。

「やはり人の問題は常にある。特に、当社の場合は直接雇用のオペレーターを主として人員を構成しているため、採用活動は継続的に行っている状況だ」(マーケティング本部コンタクトセンター部長・赤石智子氏)と話す。

このような状況に対応するため、同社は「固定勤務」に加え、「選択シフト勤務」を導入している。会社が提示するシフトの中から月に6回以上シフトに入ればよいという柔軟な働き方を可能にしている。

「現代は、ダブルワークをする人や、決まった曜日・時間帯ではなく、自分の都合に合わせて働きたいという人が増えている。そのような多様なニーズに応えるために選択シフト勤務をメインに採用活動を行っている」(同)と話す。

だが、採用を続けていく中で、新たな問題点も発生したという。

「選択シフト勤務をメインにしたことにより、応募者数は増加したものの、本当に人手が必要なピークタイムや土日祝日に必ずしも人が集まるとは限らないという状況がある。結果として、オペレーター数は確保できても、全体の総労働時間で見ると不足が生じ、その穴を派遣スタッフで補わざるを得ない状況が生まれている」(同)と吐露する。


入社後のギャップを抑える


人材を確保するのと同じくらい重要なのが、採用した人材をいかに定着させるかだ。特にコンタクトセンター業務では、入社後の「ギャップ」による早期離職が大きな課題となっている。

「入社から1年以内の離職率が最も高いのが実情だ。多くの人が、最初の研修で習う基本的な注文受付業務をイメージして入社するが、現実はもっと複雑となっている。お客さまからの問い合わせ内容は多岐に渡り、マニュアル通りに進まないケースがほとんどだ。そのギャップに戸惑い、辞めてしまう人が少なくない」(同)と打ち明ける。

この課題に対し、同社は研修制度の抜本的な見直しと強化で対応している。最初の数日間の研修でオペレーターデビューはできるものの、それはあくまでスタートラインだという。その後、実に13ステップにも及ぶ段階的な研修プログラムを用意し、オペレーターは継続的にスキルアップしていくことになる。

さらに、OJTも見直した。以前は基本的な研修が終わればOJTを外していたが、それでは新人が孤独を感じ、スーパーバイザー(SV)に気軽に質問できないという心理的ハードルを生んでいた。

「今はOJTの期間を長く設定し、常にサポートがいる環境を整えている。また、パソコンの画面上でヘルプを要請できるシステムを導入し、困ったときに、すぐにSVが駆けつけられるようにしている。採用段階から『簡単な仕事ではありません』と丁寧に説明することも含め、入社後のギャップを最小限に抑える努力を続けている」(同)と話す。


全てはデジタル化しない


顧客の行動様式も、時代とともに変化している。急いで注文したいときはウェブで、じっくり相談したいときは電話というように、顧客自身が状況に応じて最適なチャネルを選ぶようになった。この変化に対応するため、同社もデジタル化を積極的に推進している。

「これまで電話でしか受け付けていなかった商品の交換手続きをウェブ上で完結できるようにしたり、よくある質問に自動で回答するチャットボットを導入したりと、お客さまの利便性を高めるためのデジタル窓口を整備している。また、より個別性の高い質問に対応できる『有人チャット』を導入した」(同)と話す。

だが、赤石部長は「全てをデジタルに置き換えることは考えていない」と断言する。

「驚かれるかもしれないが、ウェブやIVR(自動音声応答)で注文を済ませたにもかかわらず、『ちゃんと注文できていますか』と確認の電話をくださるお客さまが一定数いらっしゃる。これは、誰かと会話をすることで得られる『安心感』を求めていらっしゃるからだと考えている」(同)と分析する。

さらに、年に数回開催する「大創業祭」などのイベント時には、「おめでとうございます」という祝福の言葉を伝えるために電話をかけてくる長年のファンもいるという。「ショップチャンネル」のコンタクトセンターは、単なる手続きの場ではなく、テレビ画面の向こう側で繰り広げられるお祭りに「参加」し、その高揚感をオペレーターと共有するための大切な接点となっている。

「お客さまが電話を選ばれる背景には、デジタルでは満たせない感情的なニーズがある。そのため、人が受けるべき問い合わせは、これからも人がしっかりと受け止めていく。そのための体制を維持することが、当社の使命だと思っている」(同)と抱負を語った。

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