「Oisix」「らでぃっしゅぼーや」「大地を守る会」は、カスタマーサポートにおいて、それぞれ独立した顧客対応を実現している。どのブランドも完全に内製化しているわけではなく、内製チームと委託先のコンタクトセンター企業を組み合わせたハイブリッドな体制を整えている。
「Oisix」においても、規模としては「1:4(内製:委託先)」の割合で顧客対応を行っている。
「内製チームはお客さま対応のスペシャリストとして位置付けており、新しい施策のトライアルや、より専門的な対応が必要なケースを担当している」(高橋副本部長)と話す。
居心地の良い環境構築
「Oisix」の内製チームは100%女性で、主婦が多く活躍している。10年以上在籍するベテランスタッフが多く、業界として人材確保が課題となる中で、これは同社の大きな強みとなっている。
「その背景にあるのは、『働きやすい職場環境作り』が関係しているとみている。産休明けに復帰したいという希望に全員叶えられる体制を整えているし、お子さんの急な体調不良などによる突発的な休みにも柔軟に対応できるようにしている。突発的な休みの場合には、社員が代わりにその作業を行うことで、作業内容をカバーしている」(同)と話す。
福利厚生の一環として、子会社のノンピが提供するケータリング社食サービスも導入している。オペレーターも利用でき、温かい食事を囲んでコミュニケーションを取ることができる。直接的な給料やインセンティブだけでなく、日々の働きがいや居心地の良さが高い定着率につながっている。
自己解決率を向上へ
一方、「Oisix」では現在、「顧客が自分自身で解決できる」環境作りにも取り組んでいる。そこでまず、自社で開発したFAQの全面リニューアルを実施した。以前は顧客が求めている回答に辿り着けない、情報が網羅されていないという問題点があった。
そこで、サービスを開発している関係者全員にヒアリングを行い、顧客目線で「本当に知りたいことは何か」を徹底的に洗い出した。さらに生成AIを活用して、コンテンツの編集力を向上させることで、コンテンツ数を従来の200から400へと倍増させた。その結果、顧客による自己解決率は向上し、電話やメールでの問い合わせ削減に寄与したという。
今後は「チャットボット」「自動受け付けシステム」の導入を目指していく。「チャットボット」は以前導入していたが、十分な成果が得られなかった。現在の生成AIの技術を積極的に活用することで、より顧客が求めている返答ができる「チャットボット」の実装を目指していく。
「コンタクトセンターはもはや単なる問い合わせ窓口ではない。お客さまの声を生で聞き、それを分析し、事業全体を改善していくための重要な『情報拠点』だ。当社はテクノロジーを最大限活用しながらも、最後は人の力、長年培ってきたベテランスタッフの知識と経験が、お客さまに最適な体験を提供できると信じている」(同)と話す。
