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2025.12.15

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【化粧品 対面販売の現場】ポーラ ALICE店 高下ユキエオーナー「 販売するのは空気と時間」非日常の空間と地域連携で描「

高下ユキエオーナー

神奈川県大和市にある南林間駅。快速も止まらないこの住宅街の駅に、顧客の心をつかんで離さないサロンがある。独自の空間哲学と、商店主を巻き込んだ地域連携「大和マイスターズクラブ」が、求心力の源泉だ。「ポーラALICE店」の高下ユキエオーナーに、経営の根底にある考え方を聞いた。

「第三の居場所」の価値

--こちらのサロンは、一般的なエステサロンと少し雰囲気が違いますね。

全国でトーン&マナーが統一されている「ポーラ・ザ・ビューティー」の店舗形態とは異なります。ポーラの傘の下ですが、オーナーの裁量で店作りができる「エステイン」という形態のサロンです。

私が一番こだわったのは、「窓をすべてふさぐこと」でした。 通常、店舗といえば開放感や透明感が重視されますが、私はあえて外の景色を見せないようにスクリーンで遮断しています。

お客さまに「非日常」を感じていただくためです。

--あえて閉ざされた空間を作った理由は?

私自身の経験が原点にあります。

かつて別の仕事をして子育てに追われていた頃、職場と家を往復するだけの生活で、ストレスから倒れてしまったことがありました。

その時、女性には家庭でも職場でもない、心から息抜きできる「第三の居場所」が必要だと痛感したのです。

だからこそ、ここでは現実を忘れ、お姫さまのように扱われる時間を過ごしてほしいと考えています。

スタッフにも常々「私たちが販売しているのは化粧品やエステの技術だけではない。空気と時間を販売しているんだ」と伝えています。

──お客さまの反応はいかがですか。

「ここに来るために仕事を頑張っている」と言ってくださるお客さまが多いです。

単に肌をきれいにするだけでなく、精神的なデトックスの場として価値を感じていただけているのだと思います。だからこそ、流れ作業のような接客は一切しません。

お一人に2時間半ほど時間をかけ、この空間での体験そのものを持ち帰っていただいています。

「何もない街」を「行くべき街」へ


--集客面での難しさはありませんでしたか?

正直、最初はサロンの場所選びを間違ったかもしれないと思いました。

近隣のターミナル駅である大和や中央林間と違い、南林間は他路線への乗り入れもなく、わざわざ降りる理由がない駅です。

ウェブでの集客も、都心部に比べると反応は鈍く、「待っていてもお客さまは来ない」という現実に直面しました。

そこで考えたのが、地域のお店同士で相互送客を行う「大和マイスターズクラブ」の立ち上げでした。

南林間にお客さまを呼ぶには、「サロンに来る」以外の「楽しみ」という付加価値が必要です。

そこで、近隣の飲食店やクリニックなど、異業種のオーナーさんに私自ら声をかけ、約22店舗でコミュニティーを作りました。

私のサロンに来たお客さまに、「エステの後にあのお店でランチをするとおいしいですよ」「あそこの店主さんは素敵な方ですよ」と紹介します。逆に、コミュニティーの他のお店からも当店を紹介してもらいます。

チラシを交換するだけでなく、インスタグラムでの発信や、時には予約の代行まですることもあります。表面的な紹介ではお客さまは動きません。

私たちは定期的に集まり、お互いの店の歴史やこだわり、経営者の思いを勉強し合う場を設けています。 

「なぜその店をやっているのか」というストーリーまで理解しているからこそ、熱量を持ってお客さまに推薦できるのです。 

コミュニティーを作り始めた当初は、「エステサロンの人が何をしに来たんだ」という顔をされることもありました。


地道に足を運び、方針を理解してもらって仲間を増やしてきました。

 

経営者のつながりで街が潤う


ーー非常にバイタリティーあふれる活動ですね。その原動力はどこにあるのでしょうか。

やはり、自分のお店のお客さまを「増やしたい」「喜ばせたい」という思いが一番です。

一般の方に向けてチラシをまくよりも、すでにお客さま(ファン)を持っている経営者同士でつながる方が、結果として良質な顧客層の循環が生まれます。

街が活性化すれば、巡り巡って自分の店も潤う。


「マイスターズクラブ」を通じて、私たちが紹介し合うことで、お客さまは南林間という街自体を楽しんでくれるようになります。

一店舗だけでは生き残れない場所だからこそ、地域全体を巻き込む「共存共栄」の仕組みが必要だったのです。

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