テレビを中心としたマルチプラットフォーム事業を展開するQVCジャパン(本社千葉県、伊藤淳史CEO)の2025年を振り返ると、上半期は苦戦したが、9月以降の業績は回復傾向にあるという。伊藤CEOは「9月以降は単月で見ると前年同月を上回っている月もある。何回もお買い物をしていただくお客さまが戻ってきている印象だ」と話す。伊藤CEOに今期のここまでの振り返りと、手応え、来期への準備などについて聞いた。
──2025年の事業を振り返ってほしい。
率直に申し上げると、今期上半期、そこから少し伸びて8月までは非常に苦戦した。インフレの影響に加え、経済情勢が不安定な時期ほど、消費者は節約傾向になる。当社で扱う商品は、食品においてはスーパーマーケットに行って購入するような生活必需品でもないため、消費が控えられた際に影響を受けやすいカテゴリーだったと言える。
しかし、そのような苦境の中にも新たな可能性を見出すことができた。今年の大きな成功の一つが「備蓄米」の販売だった。これはテレビ通販企業では初めての試みで、通常半年以上かかる企画を、全社一丸となって異例のスピードで実現した。食品という分野での好調な実績は、苦戦の渦中にあって、非常に大きな成果であり、社員の自信にもつながることになった。
9月以降は勢いを取り戻し、月によっては前年実績を上回ることもあった。この好転の背景には、主に三つの要因があると考えている。
第一に、商品カテゴリーの強化だ。特に「ジュエリー」「ヘルスフィットネス」のカテゴリーが大きく立ち上がってきた。「ヘルスフィットネス」の中でも特に美容系サプリメントでは、新商品を多く販売している。まず初回では容量の少ないサプリメントを展開し、その後、お客さまが「使用してみて良かったな」と実感していただけるタイミングでお得に購入できる「Today’s Special Value」を放送して、大容量の購入につなげるというお客さまの利便性を考慮する戦略が奏功した。
第二に、2025年7月から楽天グループと連携して、ライブコマースを配信していることが挙げられる。今年、「楽天市場」に出店し、そこでライブコマースを実施している。今まで当社を知らない人からのライブコマースの視聴につながっていると分析している。
このような施策の効果もあり、当社の事業を長年支えてくださるコアなお客さまが戻ってきてくださっているという感触がある。当社のサービスや商品体験を非常に大切にしてくださるお客さまが再びQVCのコミュニティーに参加してくださっている。これは来期に向けて非常に良い形でつながっていると実感している。
──2025年9月には「Kirei Mirai(キレイミライ) by QVC(Kirei Mirai)」のサービスを開始した。狙いなどを伺いたい。
「Kirei Mirai」は”私らしく、輝き続ける”をテーマに、主に40~60代の女性に向けて展開する新サービス。美容や健康に関する情報コンテンツ、AI診断によるパーソナライズされたキレイ体験、そして”なりたいキレイ”を叶える多彩なショッピング体験などを提供する。女性の内面と外見の美しさ、そして健やかな毎日を支える情報・体験・商品が全てそろう統合型サービスだ。
しかし、私たちが目指すのは、単に「ビューティー」や「コスメ」といった既存のカテゴリーに限定されるものではない。私たちが追求するのは、「ウェルビーイング」という大きな概念だ。肌荒れという悩み一つをとっても、その解決策は化粧品で隠すことだけではない。睡眠の質改善、食生活の見直し、あるいはサプリメントの活用など、多角的なアプローチが必要になってくる。
「Kirei Mirai」では、専門家のコラムや動画コンテンツを通じて、お客さまがご自身の悩みに寄り添った情報やソリューションを見つけ、最終的に最適な商品へと辿り着けるような体験を提供している。
──2026年は開局25周年だと思う。具体的な計画について教えてほしい。
これまでの25年間にわたりご愛顧くださったお客さまへの「感謝」を伝える「恩返し」の年にしたいと考えている。4月11、12日には、幕張メッセで大型イベントを予定しており、これを皮切りに、年間を通じてさまざまな放送とオフライン企画を展開していく。
──ほかに注力する取り組みは。
「Kirei Mirai」は当社の存在意義に関わる事業として、今後も最注力していく分野だ。提供するコンテンツの質・量をさらに高め、AIを活用した個別診断やアドバイス機能も拡充し、お客さま一人一人の悩みに寄り添った商品提案を強化していく。
QVCGroup全体では、「ライブソーシャルショッピング」という概念を推進している。これはSNSを含む多様なデジタルチャネルを通じて、AIなどのテクノロジーと人間らしいショッピング体験を融合させたものを指す。テクノロジーが進化すればするほど、一方で私たちは「人間らしいショッピング体験」を必要とすると考えている。「TikTok Shop」など、海外ですでに始まっている取り組みも日本で展開し、動画を基盤とした新たな顧客コミュニケーションを確立していく。
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