シロアリ防除施工のアサンテが変革の時を迎えている。地図情報を活用した新たな営業支援ツールを活用することにより、飛び込みの訪販営業をDXで効率化させていく計画だという。宮内征(みやうち・せい)社長に、同社の構造改革と、2026年に向けた新たな成長戦略について聞いた。
気候変動に左右されない
──まず2025年4-9月期(中間期)の総括から聞きたい。
売上高は前年同期比1.1%増の79億円、営業利益は29.7%減の8億円だった。
減益の最大の要因は、書き入れ時である4-6月期の読みが外れたことだ。例年、羽アリが一斉に飛び立つ時期に合わせて新聞折り込み広告を大量投下しているが、今年は、天候不順で、羽アリの発生の動きが鈍かった。
自然相手ゆえの難しさだが、ピークと広告のタイミングがずれたことにより、コスト先行となり利益を圧迫した。
天候リスクは避けられないが、特定の時期やチャネルに依存しない構造への改革を進めている。実際、7-9月期はウェブマーケティングや提携先からの紹介が奏功した。売り上げは前年同期比3.7%増と持ち直した。
これまでの訪問販売を中心とした構造から、訪問販売とウェブ集客という、2軸の能動的なスタイルへと転換している。
これが2026年に向けた最大のテーマとなる。
訪販とウェブのハイブリッド
──広告宣伝費を増やし、ウェブ集客に力を入れている狙いは。
訪問販売とウェブは、アプローチできる顧客層が全く異なる。ウェブ広告やリフォーム系プラットフォーム経由で流入する顧客は、すでに被害に気づいている「顕在層」だ。
一方で、シロアリ被害の恐ろしい点は「自覚症状がない」ことにある。床下で進行する被害に気づいていない「潜在層」に対しては、こちらから出向いて啓発する訪問販売が不可欠だ。
昨今、訪問販売への風当たりが強いことは承知している。
ただ、日本の木造住宅を守るためには、訪問販売とウェブ集客の両輪が必要だ。2026年に向けては、この「リアルとデジタルの最適解」を見極め、投資効率を最大化していく。
同業他社に加え、マッチングプラットフォームも競合となってきている。ウェブの世界では、いかに検索上位を取るかが勝負だ。アサンテというブランドの認知向上も含め、先行投資と割り切って攻めていく時期だと捉えている。
害獣駆除のB2C開拓
──物価高で消費者の財布のひもは固い。来期の市場環境をどう見るか。
正直なところ、生活防衛意識の高まりで、住宅メンテナンスの優先順位は下がりがちだ。
ただ、家は最大の資産であり、メンテナンスは「ディフェンシブな投資」である。そこで、シロアリ一本足打法からの脱却を図る。具体的には「地震対策」と「害獣・害虫対策」の強化だ。
特に冬場はネズミ被害が増える。これまで当社は飲食店など法人向けの駆除を行ってきたが、実は一般住宅(B2C)でもネズミなどの害獣の被害に悩む声が急増している。
B2B市場は価格競争が激しいが、B2Cはまだ手つかずの領域が多い。当社が培ってきた、個人宅への丁寧な対応力は、害獣駆除の分野でも強力な武器になる。
これを新たな収益の柱に育て上げる考えだ。
デジタルで「職人」を科学する
──「地図情報を活用した営業支援ツール」の導入もあった。詳しく聞きたい。
これまで営業現場では、紙の地図をコピーし、個々の営業マンが手書きで情報を管理していた。これでは担当が変わるたびに情報がリセットされてしまう。
今回導入したシステムでは、「見込み客」「空き家」「対象外」といった属性情報をデジタル地図上で共有し、資産として蓄積できるようになった。過去のシロアリ発生データと地図を重ね合わせれば、「この地域は発生リスクが高い」といった予測ができる可能性がある。
──「AIの活用」は。
本社では一部活用しているが、まだ現場への展開は限定的だ。今後の可能性として期待しているのが「施工品質のチェック」などだ。これまで人の目視で薬剤の塗り残しや不備を確認していたが、AIの画像解析で判断できないか、模索していきたい。
労働人口が減少する中、熟練の職人に頼るだけでは限界が来る。AIやデジタルツールで業務を標準化し、生産性を底上げする。これが次世代の成長には不可欠だ。
