女性誌で国内最多の発行部数を誇るハルメク(本社東京都、宮澤孝夫社長)は今後、総合通販から専門通販に移行する。ハルメクホールディングスの2025年4-9月期(中間期)における決算説明会で、その方針を表明した。物販ビジネスユニット副ビジネスユニット長の川瀬卓氏に、専門通販に移行する理由と、今期の手応え、来期の戦略などを聞いた。
──今期の上半期の業績を振り返ってほしい。
結論から申し上げると、売り上げ自体はプラス成長を維持できたが、成長率は前期までと比較すると鈍化している。「ハルメク物販(カタログ通販・EC・店舗・新聞外販)」の成長率は、前年同期比2.2%増で着地した。プラスではあるものの、われわれとしては苦戦したと捉えている。
成長率が鈍化している最大の要因は、やはり記録的な「猛暑」だ。今年の夏は危険なほどの暑さが続き、シニアのお客さまが外出を控える傾向が顕著だった。その結果、外出着としてのファッション需要が大きく減退した印象を受ける。「暑くて外に出られないから、新しい服を買うモチベーションが湧かない」という状況が生まれてしまったと思っている。
「総合通販」からの脱却
──「総合通販」から「専門通販」へ移行すると思うが理由と詳細を伺いたい。
「専門通販への移行」が、今のわれわれの最大の挑戦になっている。これまでのハルメクは、ある種「シニア向けなら何でもそろう総合通販」だった。しかし、モノがあふれ、ECで何でも買える現代において、「何でもある」という総合通販のスタンスではお客さまに選ばれなくなっている。一つ一つの商品の輪郭を際立たせ、専門性を高める必要があると判断した。
そこで進めているのが、カタログの「専門店化」だ。これまでは「おしゃれ」というカタログの中に、ファッションもあればインナーもあり、コスメも載っていた。しかし、表紙を飾るのは常にファッションになっており、これではインナーやコスメの魅力が十分に伝わりきらないという問題がある。
今後は、「ファッション」「インナー」「コスメ」と、それぞれのカテゴリーを独立させ、それぞれの世界観でお客さまにアプローチしていく方針だ。
──カタログ自体を分けるということか。
そのようなことも含めて検討している。普段から「コスメ」の商品を購入してくれて、「インナー」の商品は購入していないお客さまがいたとする。その場合、「コスメ」だけのカタログを送って、「インナー」のカタログは送らない。お客さまが欲しい商品をダイレクトに訴求でき、カタログの効率化も図ることができる。「総合カタログの中に埋もれている商品」ではなく、「その道の専門店が自信を持って薦める商品」として見せていく。それが「専門型」への転換だ。
──商品開発のアプローチにも変化があるのか。
非常に大きな変化がある。ハルメクの強みはこれまで、徹底した「顧客理解」と「お客さまの声(VOC)の反映」にあった。これは今後も変わらないが、それだけでは不十分だと気が付いた。
既存のお客さまの声だけを聞いていると、どうしても「今のハルメク」の延長線上の商品しか生まれない。市場のトレンドや、まだハルメクを利用していない層のニーズを取りこぼしてしまう。
そこで改めて重視しているのが、マーケティングの基本である「3C分析」だ。「Customer(顧客)」だけでなく、「Competitor(競合)」や「Company(自社・市場)」の動向もしっかりと分析する。他社がどのような商品を出し、世の中で何が流行っているのかをベンチマークした上で、ハルメクとしてどう打ち出すかを考えていきたい。
