熱中症対策義務化で法人需要増
(一社)宅配水&ウォーターサーバー協会(事務局東京都)によると、2025年1年間の水宅配業界の市場規模は、横ばいか微増だとみられるという。本紙は、2024年の宅配水市場の市場規模から推計して、2025年度の宅配水市場の規模を1980億円と推計した。
夏季の猛暑が、宅配水各社の一人当たりの水の消費量の増加に影響を与えた。一方で、新規顧客の獲得が進まない状況があるようだ。
1年間で12万件の顧客の純増を達成した、最大手のプレミアムウォーターにおいても、「2025年で新規顧客の獲得の成長率が最も大きかったチャネルはウェブだった」(金本彰彦社長)と話していた。
対面での新規顧客の契約数が鈍化しているようだ。
各社が、新規の個人客の獲得に苦戦する中で、法人の新規顧客の獲得が進んでいる。背景には、2025年6月に、労働安全衛生規則が改正され、事業者の熱中症対策が義務化されたことがある。「暑さ指数(WBGT)28℃以上・気温31℃以上」などの定の環境下で従業員に作業をさせる場合、「報告体制の整備」「休憩場所の整備」「応急処置の準備」などの対策が求められている。
ウォーターサーバーの導入は、熱中症対策に当たるため、建設現場の待機所などでウォーターサーバーを新たに設置したいというニーズが生まれた。
熱中症対策の義務化によって、今後さらに浸透していくとみられている。2026年は、ウォーターサーバーの法人需要がますます高まることが予想される。
一般顧客がほとんどを占めるプレミアムウォーターも、法人需要を取り込んでいく構想を明らかにしている。
しかし企業の熱中症対策は、気温が31℃以上になる夏季だけの需要というのがネック。いかに継続利用に結び付けられるかが、顧客増加の鍵になりそうだ。
商業施設が引き締め
2024年11月には、国民生活センター(国セン)が、全国のショッピングモールなどでウォーターサーバーの契約トラブルが増加しているとして、注意喚起を行った。2024年4~9月は、トラブルの相談件数が、前年同期間比で40%増加したという。
この頃から、商業施設において、水宅配のブース出展の審査が厳しくなったといわれている。水宅配自体をNGにした施設もあれば、クレームが多かったブランドをNGにしたケースもあるようだ。
商業施設での対面提案を主軸に顧客数を伸ばしてきた水宅配企業にとっては、商業施設の審査の厳格化は足かせになっているようだ。
水宅配の対面提案を行う代理店は、出店を継続できるブランドにスイッチしたり、別の出店場所を模索したりする動きを見せている。
災害対策がフックに
2025年も、青森県沖で起きた地震や大分の火事など、大規模な災害があった。今後も、災害対策がフックとなり、ウォーターサーバーを備えたいというニーズは続きそうだ。
大手水宅配各社は、地方自治体と連携協定を締結しており、飲用水の備蓄や、災害発生時にウォーターサーバーや水ボトルの提供を行うことなどを約束している。
備蓄する飲用水にも使用期限がある。水を消費しながら備蓄してもらう「ローリングストック」を、各社が広く啓発しいる。
