「ワクワク」する未来
─アクアクララとレモンガスの代表に就任して1年が経過した。改めて、現在の心境について聞きたい。
一言で言うと、「ワクワクしている」という状態だ。
アクアクララは25周年を迎え、レモンガスは84年の歴史を持つ。これら伝統ある企業の責任者として、非常に大きな責任を感じている。
ただ、この伝統をゼロから始めるのではなく、先人たちが築き上げてきた、アセットや考え方を継承しつつ、新しい環境と戦略に合った事業を創っていくことに、大きなやりがいを感じている。
─宅配水市場は、浄水型やワンウェイ型の台頭などにより複雑化している。アクアクララが展開するリターナブル方式の宅配水の「立ち位置」についてどのように見ているか。
確かに市場は複雑化し、手軽さやコストを重視する層は、浄水型やワンウェイ型に流れている。
ただ、私はそこにこそ、リターナブル方式の大きなポテンシャル、すなわち真の「ブランド価値」が埋もれていると見ている。
水は機能的価値だけでは測れない。
例えば、同じ機能でもセーターの価格に大きな幅があるのと同様、宅配水も、「ブランドや素材にかける思い」が価値となる。
われわれのリターナブルは、単に水を売るのではなく、「ウォーターサービス」を売っている。RO膜で精製した、安全で高品質な「水」に加え、水の楽しみ方に関する「情報」、環境負荷を考えた「リサイクル」、おもてなしの
「デリバリー」、そして長くおいしく飲むための「メンテナンス」をセットで提供している。
「環境意識」や「SDGs」「防災意識」といった面からも、リターナブル方式には高い自己表現的価値がある。
特に、これらの意識が高い法人顧客や、上質なサービスを求める顧客層にとっては、リターナブルが最適解であると確信している。
今後は、機能的価値に流れがちだった市場が、この情緒的価値に気づき、リターナブルへと回帰する流れが必ず来ると考えている。
コストコでの営業の強化
─2025年3月期の決算は、売上高が8.2%増となるなど好調だったと聞くが、要因は。
前期の売上高が増加した大きな要因は、価格の改定と、記録的な猛暑による、飲用された水ボトルの本数の増加だ。
われわれの顧客は解約率が低いため、価格改定後も定着率が引き続き高く、価格改定の効果が業績に反映されやすかった。
一方、効率の悪い獲得投資を抑えたこともあり、顧客件数自体は横ばいだった。
激化する市場において、マスマーケティングの獲得効率は悪化している。そこで当社は、「加盟店ビジネス」という強みを最大限に生かした戦略にかじを切ることにした。マス広告に多額の費用を投じるのではなく、本業を持つ加盟店が、既に本業で関係性のある顧客に対して、リターナブルの本質的な良さを深く伝えていくという手法を重視することにしたのだ。
獲得戦略の柱の一つとして、コストコホールセールジャパンの倉庫店での店頭営業を強化する。
─コストコホールセールジャパンは以前から重要なパートナーだったが、どのように強化するのか。
コストコホールセールジャパンは、環境意識が高い顧客や、「良いもの」を求める層が多く集まる場所となっている。
これは当社のメインターゲット層ともマッチする。
ただ、これまでは、リソース不足から、十分な取り組みを行える体制になっていなかった。
今年のテーマの一つは、コストコの倉庫店を最重要のコミュニケーション地点として位置づけ、徹底的に取り組みを強化することにした。
店頭のプロモーションや、コストコ会員向けの積極的な販促策を準備していきたい。
重要なのは、展示による営業活動を、直営部門が行うだけでなく、加盟店が全国で展開できるように支援していくことだと考えている。
新規提案のスキルにばらつきがある加盟店には、本社からトレーナーを派遣し、営業ノウハウを指導する。提案のガイドラインを順守しつつ、全国で均質な高い獲得成果を出せるよう、仕組みを整えている。
ターゲットの明確化
─「ゆとりがある層」をターゲットにしているそうだが、どのような狙いからか。
われわれのサービスは、スーパーで自ら水を運ぶことをいとわない層や、安さや手軽さだけを求める層に選ばれているのではなく、RO膜を経た水にミネラルが添加された「高品質のお水」に価値を感じる層に選ばれている。お客さまの多くは、サーバーのメンテナンスや、きめ細かなデリバリーにも、確かな「付加価値」を感じている。
リターナブル市場において、この層に占める当社のシェアを、圧倒的なナンバーワンにしていく。
そのためには、サーバーのデザインやボトルの見せ方にもこだわっている。
われわれの青いポリカーボネートボトルは、「隠すボトル」ではなく、「見せるボトル」だ。インテリアに合うデザインのサーバーを開発し、ボトルの視覚的な魅力も含めて訴求していきたい。
