梶原会長は「今年の干支は午。力強く前へ駆け抜ける、発展の飛躍の象徴だ。生活者の期待は多様化し、社会インフラとしての需要が高まる通販業界。今年はさらに前へ踏み出すべき1年になると考えている」と抱負を述べた。
JADMAの調査では、2024年の通販市場は14兆5500億円となり、2026年連続で拡大しているという。梶原会長は、通販が生活者から選ばれ続ける産業として信頼を重ねてきた結果だとする一方で、「業界を取り巻く環境はかつてないほど複雑化している」と話した。
中でも物流問題は依然として構造的な課題を抱えているとした。再配達の削減や置き配など配達の多様化、地域物流との連携など、産業・協会・行政を横断した仕組み作りが急務だとしている。
さらに、特商法・景表法などの改正をはじめとする、広告表示や定期購入の適正化、昨年のサイバー攻撃にも言及した。
「事業者や協会に求められるコンプライアン水準は年々高まっている。消費者保護と市場成長の両立のためには、信頼を基盤にした、これまで以上に透明で誠実な取引が求められている。特にサイバー攻撃は経営にとっても重大なリスクだ。業界全体でのセキュリティー水準の底上げが必要だと考えている」(梶原会長)と話した。
AI活用も支援
環境が複雑化する一方で、生成AIをはじめとする、テクノロジーの進化により、目の前には大きな可能性もあると述べた。
「生成AIの進化は顧客対応や重要なソフト、物流の適正化など、通販事業を大きく変革する可能性を秘めている。AI活用によって信頼を損なうことがないように、協会としては健全な活用と構造作りに取り組む」(同)と述べた。
さらに、越境ECを含む海外市場は、国内の人口減少下において重要性を増す見通しだとした。
協会としては、今年も恒常的な情報発信と、政策・提言の取り組みにより、安心・安全で健全な市場形成、新たな成長機会の創出を両輪として業界の飛躍に貢献する方針だ。JADMAマークがついていたら安心というステータスも、今一度確立していかなければならないとした。
消費者庁長官も参加
来賓として経済産業省のほか、消費者庁の堀井奈津子長官もあいさつに立った。

▲消費者庁 堀井奈津子長官
経済産業省商務・サービスグループ流通政策課長の平林孝之氏は、米国の関税措置や主要国による産業政策の強化により、国際経済の枠組みが変わりつつあると言及した。サプライチェーンの再編や投資環境の変化を通じて、企業活動にも中長期的に影響を及ぼすだろうとした。
「このような背景を受け、政府としては、国民生活と経済活動を下支えするのが最優先課題として考えている。同時に、中小企業の稼ぐ力の向上の支援を通じて、物価上昇を上回る、賃上げの実現を支えていきたい」(平林氏)と話した。
消費者庁の堀井長官は、デジタル化や高齢化など消費者を取り巻く状況は大きく変わりつつあると話した。その上で、どのようなことが求められているか、消費者庁としても、さまざまなことに取り組むとした。
「完全に、安心・安全にデジタルの取引ができると感じている消費者の割合は、さほど増えていないという現状もある。事業者もさまざまな対策を講じていると思うが、それが消費者に十分に伝わっていないのであれば、双方にとって残念だ。そのような状況を打破するために、デジタル取引をめぐる環境整備は非常に重要であると捉えている」(堀井長官)と話した。
