本紙はこのほど、通販・EC、訪販を手掛ける無店舗販売の株式上場会社を対象に、2025年度版のROE(自己資本利益率)調査を実施した。ROEは、株主が出した資金で企業がどのくらい効率的に利益を出しているかを示す指標。近年は企業体質の重要な数値になっている。ROEのほかにも、売上高営業利益率や自己資本比率も調査に加え、各社の経営体質の状況を一覧にした。経営環境が厳しい物販の中でも高収益を生み出す企業が目に付く。
ZOZOが圧倒
東証プライム市場では、衣料品通販のZOZOが他社を圧倒する数値となった。ROEは前年と比べて5.6ポイント減少したものの、49.4%という高い数値を維持し、売上高営業利益率は30.4%だった。ZOZOは2025年3月期で商品取扱高が前期比7.0%増の6143億600万円に拡大。「ヤフーショッピング」での販売が計画を大きく上回ったことなどを取扱高拡大の要因に挙げた。

▲通販・ECを主力事業とする企業のROEランキング(2025年比較)―プライム市場―
2025年のROEが前年から大きく上昇したのは、ラクーンホールディングスで、前年と比べて11.7ポイント増の18.2%になり、営業利益率は20.6%という水準だった。ROEの減少が大きかったのはアスクルで、ROEは同15.3ポイント減の11.6%となった。営業利益率は2.9%でプライムの企業の中で2番目に低かった。
営業利益率に差
東証スタンダード市場のROEは、前年との増減がばらついた。前年と比べて増加した企業は7社、マイナス企業は3社だった。プライム市場の企業と比べ、営業利益率が低い結果となった。

▲通販・ECを主力事業とする企業のROEランキング(2025年比較)―スタンダード市場―
調査したプライム市場企業計18社の平均営業利益率は10.3%で、スタンダード市場は赤字企業を除く9社の平均営業利益率が4.6%となり、5.7ポイントの差があった。また、10%以上の営業利益率となった企業はプライム市場で9社、スタンダードはアルマードとHameeの2社だけだった。
Aiロボが高数値
直近1年で東証グロース市場に株式上場した多くの無店舗販売企業の中にあっても、Aiロボティクスが頭一つ抜けた数値を出している。これにTENTIALとyutoriが続いており、いずれも若い経営者が市場を開拓している様子がうかがえた。
営業利益率の高さで目を引いたのは食品BtoBのMマートで40.2%の数値だった。同社は手数料収入を主なビジネスモデルとしており、売上高が12億円の規模で着実な収益を上げているようだ。
調査したグロース市場の数値も各社でばらつきはあるが、投資家や業界関係者の期待と注目を集める成長企業が多いといえる。
同様に、訪販企業にも多くの優良企業が存在している。販売商材によっては逆風状態が続いている企業もあるが、高いROEや営業利益率を出している企業も多数見て取れる。

▲訪販を主力事業とする企業のROEランキング(2025年比較)
店舗を持たずに販売をする無店舗販売業界がこれからどのように伸びていくのか期待が高まる。
<表の見方>
通信販売やEC、訪販販売を主力事業(全体売り上げのうち、通販やEC、訪販の売り上げ比率が高い企業も含む)とし、株式上場している企業を対象にした。対象企業は本紙が独自で調査して掲載。25年度の決算が出ていない企業は24年度のデータを掲載した。ROEは直近3年分を掲載し、差異は2025年と2024年を比較して算出した。売上高の単位を億円とし、直近の本決算の全体売上高を掲載した。物販を含む複数事業が混在している企業は調査外としている。
