「チャットの密室性」指摘
事務局は、SNSのチャット機能やダイレクトメッセージ(DM)を用いた勧誘が急増している実態を報告した。SNS関連の相談件数はこの10年で10倍以上に増加しているという。
特にチャット勧誘については、従来の「通信販売」の枠組みでは捉えきれない「不意打ち性」や「密室性」が問題視されているとした。
これについて、消費者庁は二段階の検討の方向性を提示した。
一つ目は、広告と勧誘の境界が曖昧になっている現状を踏まえ、ダークパターンなどの悪質な表示への対策を強化することだ。
二つ目は、チャットを用いた勧誘など、不意打ち性が高く消費者の意思決定をゆがめる恐れのある行為について、「電話勧誘販売」や「訪問販売」と同等の強力な規制(クーリング・オフや取消権)の導入を検討するとした。
規制強化を支持する声が上がる一方で、健全な事業活動への影響を懸念する意見も相次いだ。
副作用を危惧する声
消費者団体や弁護士の委員からは、現行法の「隙間」を埋めるべきとの主張が相次いだ。「SNSのDMは電話以上に逃げ場がなく、一対一のやり取りで心理的に断りにくくなる」「被害者は若年層にも広がっており、一刻も早いクーリング・オフの導入が必要だ」との声が上がった。
チャットログなどのデジタルデータの保存・開示を義務付けることにより、事後的な救済を容易にすべきとの提案もなされた。
一方で、事業者団体の委員からは「通常のECサイトにおけるチャット接客と、悪質な勧誘をどう明確に区別するのか」という線引きの難しさが指摘された。「一律の規制は、便利な接客ツールとしてのチャットの発展を阻害しかねない」「バナー広告などの限られたスペースに過度な表示義務を課すのは物理的に困難で、逆に見落としを招く」といった、実務上の懸念を示す意見も出た。
座長の慶應義塾大学の大屋雄裕教授は、「電話勧誘で許されないことが、SNSなら許されるという現状は是正すべき」との認識を示しつつ、良質な事業者への過度な負担にならないバランスの重要性を強調した。
次回の検討会では、ダークパターンへの対策についてさらに議論される予定だ。
