コープデリ生活協同組合連合会(本部埼玉県、熊崎伸理事長)は、首都圏のコープみらいに新規組合員の獲得を担う「営業部」を新設して成果を上げつつある。配送スタッフの勤務体制に4勤3休を採用し、配達までもサイクルを5曜日から4曜日に圧縮して働き方の改善も進めている。宅配事業の責任者の上山精一執行役員に26年3月期の取り組みと今後の方向性について聞いた。
──2026年3月期の状況は?
商品の価格高騰もあり組合員の購入単価は高い水準で推移している一方で、生協を利用する人数が前年を下回っており厳しい状況となっている。新規組合員の獲得は、月によって変動があるもものの、計画には届いていない。
利用人数が苦戦しているのは、生協に加入した組合員の定着率の低下にある。ドラッグストアや食品スーパーを含めて競合他社が増えているなかで、獲得競争が激しくなっている。
そのなかでも当連合会に加盟するコープデリにいがたでは、新規加入者に対して商品の提案活動を継続的に実施している。生協の取り組みを週ごとに説明して理解を深めてもらうため、配送担当者による加入後8週間のプログラムを用意している。しかし、対面できることを前提としていることもあり、なかなか成果につながるところまでいっておらず苦戦している。
──新規組合員の接点づくりについては?
「デジタルイノベーション推進部」を立ち上げ、ウェブから組合員に加入できる仕組みを提供している。ウェブ経由での加入が増えていることに加えて、500円の「お試しセット」や、アマゾン、ユーチューブ、ティーバーの動画CM、インフルエンサーなど著名人に生協の商品を活用してもらい動画で接点を増やしている。
ドアツードアによる飛び込みで獲得するよりは、動画を見て、お試しセットからの加入が増えている。人が集まるイベントなどに出展をして、生協を知ってもらう活動も続けている。
──コープみらいにおいて「営業部」を発足させた。
コープみらいでは、千葉、埼玉、東京で計76センターがあり、営業担当者が配属されていた。配送員の欠員が多い中で、営業担当者が代配を担わなければならない場面も多くなってきて、新規獲得が思うように進まないことが起こっていた。また、首都圏はネットスーパーや食品宅配サービスなど競合も多いほか、新規加入の問い合わせも多く、営業活動を強化する必要があった。
各センターに配属されていた営業担当者を引き上げて約220人が「営業部」に属している。ウェブからの問い合わせに加えて、配送員からの加入希望の情報があれば戸別の訪問営業を行うほか、イベントなどがあれば提案営業を行っている。
営業トレーニングにも力を入れている。独自にオリジナルのアバターを使ってAIを相手に接客をさまざまなシチュエーションでロープレのような形で行うことができる。特に業績に悩んでいる職員がスキルを高めることができるようにしている。
──上位の営業職員から学ぶ機会もあるようだが?
「ハイパフォーマーから学ぶ学習会」というトレーニングをオンラインで行っている。営業担当者がそれぞれ予算の65%を達成すれば全体もクリアできることから、未達成者に対する底上げを図っている。2カ月に一度のペースで、オンラインを活用することで80~100人を対象にしている。
「営業部」を組織化したことの成果としては、加入計画に対する意識が向上し、達成率が上がってきていることだ。営業に専念できることもあり、自身でスケジュールを立てられるので、モチベーションも上がっている。
──シニア向けの弁当宅配の推移は?
2026年1月までほぼ計画通りに進んでいる。物価高騰の影響もあり、2025年7月に値上げを実施した。
シニアによる利用が中心だが、出産後の利用や単身世帯の利用など幅広く利用が増えてきている。
──人材確保に対する取り組みは?
配送業務を効率化する目的で24年8月から千葉の北総センターで4勤3休を採用し、配達を5曜日から4曜日に圧縮している。今年から東京、千葉、埼玉の三つのセンターでも同様の取り組みを始めた。
職員を辞めないようにどのように労働環境を整えていくのか知恵を出していきたい。
