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2024.02.09

連載

専門家

【有識者に聞く!電子帳簿保存法の基本解説】第三回 電子帳簿法の影響を受ける事業者の実務を助けるサービスとは



第2回では、インボイス制度の開始、そして電子帳簿保存法の区分の一つである「電子取引のデータ保存」の宥恕(ゆうじょ)期間終了により、EC・物販事業者の請求業務で発生している現状の課題、長期的な視点での業務効率化の必要性について解説した。電子帳簿保存法解説の最終回となる今回は、前回解説した課題を踏まえ、事業者の実務対応を助けるサービスをご紹介する。




まず、はじめに、電子帳簿保存法のおさらいをしておきたい。電子帳簿保存法には「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引データの保存」の3つの区分がある。


3つの区分のうち「電子帳簿等保存」と「スキャナ保存」への対応は任意である。そのため、紙で受領・作成した書類をそのまま紙で保存することは問題ない。対応が原則必須になったのは、2023年12月に宥恕期間が終了した「電子取引データの保存」だ。電子で送った・受け取った書類は電子での保存が義務となった。

 では、原則必須となった「電子取引データの保存」はどのように対応するのが良いか。電子で保存するといっても、ただフォルダへ格納するだけでは対応できず、「真実性の確保」と「可視性の確保」を満たすため、タイムスタンプの付与、検索機能の担保といった細かい条件が設定されている。自社で要件を満たしたシステムを開発するというのも一つの手段だが、開発コストを考えると、多くの企業では難しいのではないだろうか。そこで比較的簡単に取り入れられる方法を二つ紹介したい。


 1 電子帳簿保存法に対応したクラウドサービスの導入
まず、電子帳簿保存法の対応方法として、法制度に対応したクラウドサービスの導入が挙げられる。クラウドサービスとはインターネット経由で提供されるソフトウェアサービスのことで、契約すればインストールは不要で、すぐに使用を開始することができる。多くは月額、年額など継続的に料金を支払う形となっており、その代わりにクラウドサービスのベンダーは契約後、機能の更新をし続ける。多くのベンダーで電子帳簿保存法のような法制度の改正に合わせて機能改修がされるため、導入していれば自動的に法制度の対応ができる、というのがメリットである。

すでに基幹システムが入っており、ECの請求書発行は基幹システムで行っているが、請求書の送付と保存のフローを効率化させたいという場合には、請求書の送付・保管に特化したクラウドサービスの導入が向いているだろう。


2 請求代行サービスの利用
人員が足りないなどの理由から、請求業務にかかる負荷をそもそも減らしたいということであれば、法制度に対応した請求代行サービスを利用するのがおすすめだ。請求代行サービスとは、請求書の発行から代金回収・消込まで、一連の請求業務を全てアウトソースできるサービスだ。先に述べたクラウドサービスは、請求書の発行・送付・電子保存が別のサービスに分かれているのが一般的だが、請求代行サービスは請求業務全体を一つのサービスの中でまるっと委託することができる。また、請求代行サービスの中には、債権を譲渡することで、取引先の与信審査や入金の保証ができるサービスもあるため、与信が心配な新規の取引先でも安心して掛け売りができるという利点もある。

ECカートと接続できる請求代行サービスを選べば、商品の受注から請求書の発送、入金まで一括で自動化することもできる。請求業務は極力効率化し、とにかく少人数で人の手をかけずに行いたい、という企業には請求代行がおすすめだ。


最後に
これまで全3回で電子帳簿保存法の概要、現場で発生している課題、対応方法について解説をしてきた。ここで改めてお伝えしたいのは、法制度対応を改革のきっかけと捉えて、長期的な視点で業務の効率化に取り組んでほしいということである。ここ半年から1年ほどのことだが、お客様から「経理担当の退職や産休・育休で人が足りず困っている」「採用しようとしてもなかなか来てくれない」などの声を聞く機会がかなり増えてきた。労働人口減少、物価や運賃上昇など厳しい社会環境が続く中、バックオフィス業務を効率化することで、より企業の成長のために時間や人員を割けるような環境を整えて、厳しい状況を乗り越えてほしい。




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