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2026.03.31

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【健康食品通販 トップインタビュー】日清食品ダイレクトマーケティング 佐藤真有美社長「『巨大ブランドの集客力』を成長エンジンへ」

佐藤真有美氏


日清食品グループの通販事業を担う日清食品ダイレクトマーケティング(本社東京都)は、独立分社化から約1年が経過した。佐藤真有美社長は、製造業の枠組みを超えた小売特化型の経営を加速させている。「カップヌードル」などの看板商品が生み出す圧倒的なトラフィックを、いかにしてLTVの高い健康食品事業へと結びつけるのか。分社化後の苦労から、1日で億単位を売り上げるというQVC向け戦略など、同社の現在地と未来図を聞いた。




分社化による制度のアジャスト


──分社化して1年、経営の舵取りをしてどうか。
 
想像していた以上に、目に見えない制度や基盤の整備に心血を注いだ1年だった。事業内容は変わらないものの、製造業の巨大な仕組みの中で小売を営むのと、独立した会社として小売特化型の会計・制度を運用するのとでは、勝手が大きく異なる。
 
特に、キャッシュフローの管理や棚卸資産の把握など、会社全体の数字を見る視点は、一部署の損益を管理していたころとは求められる精度が桁違いだ。
 
私自身、現場主導のプレーングマネージャー気質だったが、経営にフォーカスしなければ見落としが生じると痛感した。1年目は、まさに組織としてのアジャストの年だったと言える。
 
──御社の通販の強みと課題は。
 
最大の強みは、一言で言えばモンスター級の集客力だ。「カップヌードル」や「チキンラーメン」といった国民的ブランドをフックにしたキャンペーンを展開すれば、広告費をかけずとも一施策で数万人の新規顧客を獲得できる。
 
一方で、即席麺を目的にして入った顧客は、サプリの定期購入への定着率が低いという課題がある。
 
今後は、この圧倒的な集客力を持つ入り口から獲得した顧客を、いかに健康食品の価値に気づかせ、ブランドを横断するシナジーを生めるかが収益化の鍵となる。


LPは「短くシンプルに」


──マーケティング手法や顧客の反応に変化は感じているか。
 
顧客が悩むことに時間をかけなくなっている傾向が顕著だ。かつてのD2Cのように、長いランディングページ(LP)をじっくり読ませて納得させる手法は、タイムパフォーマンスを重視する現代の顧客には通用しにくくなっている。
 
サイトの分析結果を見ても、購入に至る顧客ほどページの下部まで読み込まず、直感的に意思決定をしている。
 
そのため、現在は「短く、シンプルに、何度も伝える」設計へと切り替えている。クッションページを排除し、購入までのステップを減らした方が、CVRが向上する傾向も確認できた。


QVCで1日1億円


──テレビ通販での躍進が目立つ。
 
QVCは当社にとって非常に重要なチャネルへと成長した。現在5ブランドを展開しているが、1日で大きな売り上げを記録するヒット商品も生まれている。QVCでの成長率は、直営ストアを上回っている。
 
QVCの視聴者は「本当に良いものを紹介している」という番組への信頼が厚い。
 
特定のブランドを1時間じっくり紹介する枠を確保し、ゲストのトークを通じて商品の特徴や開発の背景を丁寧に伝え、視聴者の感情に訴えかけていく。
 
来期には、放送枠がさらに増える見込みであり、ブランド認知と売り上げの両面で欠かせない存在となっている。


AIに「正しく拾われる」


──TikTokや生成AIへの対応は。
 
TikTokについては、ショップ単体での売り上げよりも、動画の再生数とアマゾンでの検索・売り上げの相関を重視している。
 
アフィリエイトを活用してUGC(ユーザー生成コンテンツ)を活性化させ、アマゾンでの検索機会を増やす戦略だ。
 
生成AIについては、自社ECのShopifyの機能を生かしつつ、AIに適切にレコメンドされるための情報設計を意識している。
 
AIがユーザーにパーソナルな提案をする際、日清食品の商品が選択肢に入っていくよう、サイトのトラフィックを上げ、コンテンツの質を高めることが、中長期的な売り上げにつながると確信している。

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