UHA味覚糖(本社大阪府)のEC事業が急成長を遂げている。お菓子メーカーとしての高い技術力を背景に、錠剤型サプリメントに挫折した層を「おいしさ」で取り込んでおり、自社ECにおける定期購入率は約45%という驚異的な数字をたたき出している。ノーベル賞研究に着想を得たサプリ「オートファジー習慣」を発売するなど、新領域への展開も行っている。同社がECで目指すブランド価値の向上などについて、ECデパートメントリーダーの川越亮太氏に聞いた。
──「グミサプリ」シリーズにおけるECの現状について聞きたい。
現在、機能性表示食品を含む「グミサプリ」シリーズ全体の売り上げのうち、ECが約40%を占めている。特筆すべきは成長スピードで、この3年でECの注文数は約10倍に増えた。
ECにおける最大の強みはブランドスイッチの受け皿になれる点だ。従来の錠剤型サプリメントを「飲みづらい」「効果が実感できる前にやめてしまった」という人が、当社の製品の「お菓子としてのおいしさ」をきっかけに、グミ型へと乗り換えてくれるケースが非常に多い。価格が高単価な「NMN10000」製品などでも、ターゲットを絞って訴求することで着実にスイッチが起きている。
──高いリピート率の理由は。
「オートファジー習慣」などのロンジェビティ(健康長寿)関連商品のリピート率は90%に達している。この高い継続率を支えているのは、やはり”おいしい”という圧倒的な利便性だ。
昨年4月に実施した自社サイトのリニューアルでは、「味覚糖らしい面白いEC」を目指した。駄菓子屋のように商品を詰め合わせられる「UHAウハウハBOX」や、商品との偶然の出会いを作る「UHAガチャ!」など、エンターテインメント性を付加することでファンづくりを強化している。
──Amazonや楽天市場などのモールと、自社ECはどのように使い分けているか。
基本スタンスは「お客さまが最も使いやすいチャネルで購入いただくこと」だ。その中で役割を分担しており、Amazonは圧倒的な利便性を背景とした”新規獲得のフロントエンド”と位置付けている。楽天市場は、催事の強さを生かした販売の場だと考えている。TikTokはライブコマースを通じた体験提供の場と捉えている。対して自社ECは、LTVの最大化と、深いブランド体験を提供する場所と位置づけている。
──価格戦略については。
ブランド価値を維持し、値崩れを防ぐため、原則として安売りは行わない。その代わりにEC限定の大容量サイズやまとめ買い割引を設定することで、送料を加味してもお客さまがお得感を感じられるような設計を徹底している。
──新商品の展開において、ECはどのような役割を果たしているか。
当社ではECを、テストマーケティングの最前線と捉えている。例えば「Makuake」を活用したプロジェクトでは、「【UHA味覚糖が継承】カリッ、ホロッと溶ける!イコマ製菓本舗『レインボーラムネ』」が大きな話題を集め「Makuake Of The Year2024」に選ばれた。
最近は、エナジー系サプリ「ENERGY ARTS(エナジーアーツ)」などをEC先行で展開し、直接お客さまの熱量を計測している。ここで得たデータや反響を、次の市場展開につなげるという循環が、当社の強みになっている。
──今後の展望についても聞きたい。
毎年EC売上比率を1%ずつ高めていくことを目標にしている。物流面では、急増する注文に対応するため、現在は外部委託やAmazon FBAを活用しているが、今後はさらなる成長を見据えて自社配送網の活用も検討していく。
──最終的にどのようなポジションを目指すのか。
グミ市場でナンバーワンの評価をいただいていることに甘んじず、今後は「オートファジー」や「ロンジェビティ」というキーワードで、真っ先にUHA味覚糖を想起していただける存在になりたい。2016年にノーベル賞を受賞したオートファジー理論に基づいた商品展開など、他社に先駆けた取り組みを、ECを通じて世界へと広げていきたい。
