経済産業省は2025年12月に「化粧品産業競争力強化検討会」を立ち上げた。世界の化粧品市場が拡大する中、日本の化粧品輸出は足元で苦戦を強いられている。こうした現状を打破し、〝2033年に化粧品海外展開目標額2兆円規模〟という目標を達成するべく、官民や、関係事業者・団体同士が連携しながら、日本の化粧品産業の競争力の強化を図る取り組みだという。業界の現状や、「J-Beauty」の展望、検討会の取り組みについて、経産省の鈴木学氏に話を聞いた。
──「化粧品産業競争力強化検討会」を設置した狙いは?
日本国内の化粧品の市場規模は約4兆円弱で微増しているが、将来的には人口減少から、市場の縮小も見込まれている。中長期的な産業発展のためには、海外展開が必要となるだろう。
世界の化粧品市場規模は約70兆円で、年率4~6%で成長を続けていると言われている。しかしその中で、日本の化粧品の輸出額は、近年大きく減小傾向にある。2021年には約8000億円だった輸出額が、2024年には約5000億円となっている。国別に輸出額を見ると、日本は世界13位(2024年時点)だ。
今回の検討会は、こうした状況を踏まえ、日本ブランドの海外売り上げの拡大に向けた課題の整理や、具体的なアクションの後押を目的として設置した。
──〝2033年に輸出2兆円〟という目標達成に向け、業界内でどのような取り組みが必要か?
海外展開に当たって、各国の化粧品の法規制の改正やトレーサビリティーの要求水準など、さまざまな規制を的確に把握し、海外市場環境の変化に迅速に対応できる、化粧品産業のグローバル対応力の強化がより重要となっている。
しかし、各国の規制は国ごとに違いがあり、個社だけでは対応が容易でない。このため、海外規制に関する情報を集約し提供することを〝業界横断領域〟と捉え、海外規制情報の集約プラットフォーム開発を「NEDO懸賞金活用型プログラム」の一つのテーマとして掲げた。2026年5月に公募を開始した。
日本の化粧品の安全性や有効性は、医薬品などとともに、薬機法の下で規制されている。諸外国は一般的に化粧品単独の法規制があるため、規制の形態が大きく異なる。
広告規制は競合他国と比較して非常に厳格である。この結果、広告表現の自由度やマーケティング手法の選択肢においてギャップが生じており、国内企業の海外展開におけるハードルとなっている。
国内市場への影響もある。海外企業による越境ECサイトのオンラインでの日本語広告には、薬機法に定められた規制が守られておらず、日本企業よりも訴求力の高い表現が使用されているという現状がある。
化粧品産業の国際競争力を強化するため、業界は制度や運用見直しに向け規制当局との協議を進めている。
──今後、日本の化粧品産業の構造はどう変わるべきか?
日本の化粧品企業が有する自社製造の品質・機能を維持するという強みを生かしつつ、専門性を持つ、競争力の高い企業同士が結びつき、外部ODMと連携したハイブリッド生産によって、トレンドに応じた開発・生産スピードを向上させることが求められている。
各国の法規制の情報共有、国内広告表現規制の見直し、海外展開におけるJ-Beautyのブランディングなど、協調領域(業界全体で協力して対応すべき分野)における連携を図りつつ、それぞれの企業が独自のアイデアや取り組みにより競争する環境にしていくべきだろう。
