テレビを中心としたマルチプラットフォーム事業を展開するQVCジャパン(本社千葉県、ロイック・レトレCEO)は昨年、顧客の綺麗を実現するオンラインサービス「Kirei Mirai(キレイミライ)by QVC」を開設した。同社は常に顧客の健康や美を考え、サービスの進化を図っている。テレビ通販業界大手のQVCジャパンのビューティー・ヘルス&フィットネス マーチャンダイジング ディレクターの栗原麻紀氏に、テレビ通販業界における化粧品トレンドの変化や、販売状況などを聞いた。
──ここ5年間くらいの、テレビ通販業界における化粧品販売のトレンドは?
コロナ禍以降、化粧品の販売環境および消費行動は大きく変化している。まず2020年前後は、外出自粛や店舗閉鎖、インバウンド需要の消失により、店舗販売が大きな打撃を受ける一方で、通販チャネルの利用は拡大した。テレビ通販においても、スキンケアやヘアケアなど「おうち美容」需要が伸長した一方、メークアップ商品の需要は一時的に縮小するなど、カテゴリ構成の変化が見られた。
その後、コロナ禍の収束に伴い外出機会の回復とともにメークアップ需要も全般的に回復傾向にあるが、消費者の購買行動は以前とは大きく異なっている。現在は、使用されている成分の根拠や効果、専門家の意見を重視するエビデンス志向の高まり、自分の肌に合うかを重視するパーソナライズ需要の拡大が特徴的だ。
通販全体ではECの利用拡大により、チャネルの多様化が進み、テレビ単体ではなく、WEB・アプリ・SNSなど複合的な購買導線が一般化している。このようなコロナ特需の反動や消費者の習慣の変化の中でも、テレビ通販は依然として人気を維持しており、その上で新たな顧客接点の導入・創出がさらに重要となっている。
──そのような市況感の中で、どのように成長につなげているのか?
QVCジャパンでは、コロナ禍以降の消費者の購買行動や継続的な意識の変化を受けた取り組みを行っている。特に「自分に合った商品を選びたい」というパーソナライズ志向や、「納得した上で購入したい」という体験重視のニーズを捉え、ヘルス・ビューティ・ウェルビーイング領域における価値提供の進化に取り組んできた。
その中核となるのが、「Kirei Mirai(キレイミライ)by QVC」だ。主にお客さま一人一人の”なりたいキレイ”に寄り添うことを目的に、情報・体験・商品がそろう統合型プラットフォームとなっている。
「Kirei Mirai」では、AI肌診断やライフスタイル診断を通じたパーソナライズ提案に加え、専門家監修のコラムや動画を活用することで、お客さま自身がより深く商品や美容知識を理解できる環境を整えている。
テレビ、ECサイト、SNS、ライブコマースを横断的に連動することで、「知る」「体験する」「購入する」までを一貫した流れとして提供する。単なる商品販売にとどまらない、個別最適化された統合体験を実現している。
お客さまの悩みやライフスタイルに寄り添いながら、継続的に関係性を構築、さらに顧客接点の拡張にも積極的に取り組んでいる。
今年6月には、テレビ通販業界として先駆けて「TikTok Shop」に公式ストアを開設した。動画視聴から購買までをシームレスにつなぐ新たなショッピング体験の提供を開始した。これにより、従来のテレビ中心の既存顧客層に加え、SNSを起点とした30~40代の新規若年層との接点創出にもつなげている。
当社では、テレビが持つライブ性やストーリーテリングの強み、「Kirei Mirai」によるパーソナライズ、そしてTikTokをはじめとしたSNSの発見性・拡散性を融合させることで、より多様な顧客ニーズに応えるショッピング体験を構築している。
