化粧品業界の広告表現の規制動向や、消費者庁による処分状況について、法規制に明るい、薬事法広告研究所の稲留万希子代表に話を聞いた。
──消費者庁による処分の現状について聞きたい。
2025年度(2025年4月~2026年3月)の、消費者庁による措置命令の件数は13件で、26件だった2024年度の件数から半減した。8件の確約計画の認定も行った。
近年は「確約手続」の活用が増えたことにより、措置命令の件数自体は減少傾向にある。
措置命令の件数の減少については、確約手続導入で、事業者がより襟を正し、措置命令対象の広告自体が業界から減ったという可能性は無きにしもあらずだが、行政のリソースの問題など、あらゆる要素が要因として考えられる。今後は方向性が変わる可能性もあるので、注視していく必要がある。
一方で、措置命令件数が激減したからといって、「行政から指摘を受けるリスクが減った」という単純な見方はできない。
──薬機法の化粧品規制について緩和の可能性が取り沙汰されている。現在の化粧品広告における表現規制の現状はどのようなものか?
現在、化粧品の広告でうたえる効能効果は、1961年(昭和36年)に薬事法(現・薬機法)の施行通知で定められた効能の範囲をベースに、56項目に限定されている。表現に関して最後に改定したのは2011年(平成23年)であり、それまで55項目だったところが、1項目追加された。
この極めて狭い縛りの中で、各メーカーは工夫を凝らして表現を行っているのが実状だ。しかし、成分開発や技術が飛躍的に進歩した現代において、数十年前の基準を維持し続けることには限界がきているとも言える。
──規制緩和が実現した場合、業界にはどのような影響があるか?
J-Beauty産業研究会などの活動によって広告表現の幅が広がれば、製品の真の良さを消費者に伝えやすくなり、ビジネスチャンスが大きく拡大する。特にOEM企業にとっては、自社の技術力をアピールする強力な追い風となるのではないか。
一方で、エビデンスを適切に管理できない企業は淘汰されるため、情報のアップデートやリテラシーはより厳しく問われることになると見ている。
