個人事業主との契約で影響
本紙ではこれまで、NBの主宰会社や、化粧品訪販企業のような、多数の個人事業主と取引する企業で、影響が大きく生まれると報じてきた。こうした企業では、インボイスへの対応方法として主に、「インボイス登録事業者には消費税込の報酬を支払い、非登録事業者には税抜の報酬を支払う」という方法と、「登録の有無に関係なく、消費税込の報酬を全員に支払い、会社は経過措置期間の一定割合の仕入れ税額控除で対応する」という方法の二つがあり、二極化している。
「非登録事業者には税抜の報酬を支払う」という方法を採用したケースでは、「(免税事業者との取引でも仕入れ税額控除が部分的に認められる)経過措置期間があるにもかかわらず、一方的に消費税額を満額減額した」という認定がされた場合、独占禁止法の「優越的地位の濫用」に該当するおそれもある。報酬の減額をする際には、販売員や会員との間で、インボイス制度に関して十分なコンセンサスが取れているかどうかが、鍵となりそうだ。
地方の事業者は理解不足
全国500ヵ所以上で電位治療器の体験販売を実施する白寿生科学研究所の原浩之社長は、インボイス制度への対応に、困惑や怒りを感じているという。体験販売会場「ハクジュプラザ」の入居する物件について、物件所有者のほとんどが、免税事業者であり、インボイス制度について理解していないという。
結果的に、インボイスには登録せず、非登録事業者と取引することになりそうだという。「消費税分を肩代わりする(仕入れ税額控除を受けられない)か、取引をやめざるを得ない」(原社長)としている。
同社では、「販売に応じたコミッション」だけを給与とするメンバーもいるという。そうしたメンバーに、インボイスに登録してもらい、課税事業者となってもらうことを説得する手間も生じているという。
インボイス制度では、適格請求書として発行された領収書を保存することも求められている。保存方法は定められていないが、電子インボイスに対応していない場合、紙での保存が必要になる。ペーパーレスを推進していた企業が、再度、紙での保存を余儀なくされるといったケースも生まれそうだ。