ファンケル(本社神奈川県、三橋英記社長)の化粧品の通販事業の業績は、堅調に推移している。主力カテゴリーにおける、新商品の投入や、外部ECモールにおける売り上げの伸長が要因だという。自社通販事業も好調。自社通販における、一人当たりの化粧品の購入額は、2年前と比べ10%ほど向上したとしている。ファンケルの化粧品事業の成長戦略について、通販・店舗を統括する、上席執行役員マーケティング推進統括オフィスオムニチャネル本部本部長の村岡健吾氏に話を聞いた。
自社通販YTVが伸長
──通販事業について聞きたい。
2025年12月期の通販事業の実績は、増収・増益となった。
化粧品通販では、主力カテゴリーにおける新商品投入が成長に寄与した。具体的には、2025年3月に発売したスキンコンディショニング洗顔や、2024年9月発売のミルク洗顔などの洗顔商品、40代以降の悩みにアプローチするスキンケア「トイロ」シリーズなどが挙げられる。
直営通販については、CRMを駆使して、一人当たりのYTV(年間取引価格)を伸ばした。過去3年間で取り組んできた、データを活用したマーケティングの進化によって、一人当たりの化粧品の購入額は2年前と比べ、10%ほど高まっている。洗顔、クレンジング、基礎化粧品の3品の併売率が向上している。(1)落とす(2)洗う(3)潤す─という、無添加化粧品らしいブランドロイヤルティーや価値を感じていただきやすい主力商品の併売を促進した結果、自社通販も堅調に推移している。
成長率で見ると、外部ECモールの売り上げは大きく伸びている。モール自体が拡大しており、さらに自社通販の施策ノウハウを転用することで、一人当たりの購入額アップも実現できた。
──特に注力した取り組みは?
商品軸での施策だけでは限界が見えていたので、パーソナライズや、ブランドへの共感、CX起点の施策を強化していった。
自社通販では、デジタルならではのコミュニケーション価値を高めた。体験価値を高めるコンテンツと施策を掛け合わせることで、CVも向上させることができた。データ上での成功事例をもとに、デジタルコンテンツ企画の担当チームを26年1月に新設した。施策オファーの強度や、セット品の価格設定なども見直した。
細やかなコミュニケーションを行った結果、レスポンス確率は上がった。購入者・購買・行動といった情報をかけ合わせて、CVにつながる、パーソナライズしたアプローチを行えることに当社の強みがある。
新規獲得の考え方を変革
──化粧品事業における新規の顧客獲得施策について聞きたい。
新規獲得についての考え方を変えた。通販・店舗のオムニチャネルで、新たなお客さまにアプローチしている。化粧品事業単独でお客さま獲得に注力するというより、ファンケルの既存の健康食品ユーザーに対する化粧品の提案を強化している。
化粧品・健康食品という、異なる二つの事業が持つ強みや、お客様獲得モデルの特性を生かすことで、獲得コストの抑制に成功している。実際、内外併売率(化粧品・健康食品どちらも購入しているお客さまの比率)は高まっており、お客さま数では全体の約3割を占めている。
──今後の展望は。
化粧品業界として、化粧品通販の市場自体は継続して伸長している。
一方で、市場の競争環境や、消費者の購買動向は大きく変化し続けている。こうした変化に対応していくためにも今後は、AIを活用したビジネスモデル設計が、各社の競争力となってくる局面が訪れると見ている。当社でも現在、こうした変化の中で、持続的な勝ち筋となるビジネスモデルの設計に取り組んでいる。
