ファンケルグループのアテニア(本社神奈川県)は、「上質を、解放する。」というタグラインを掲げ、化粧品の開発・販売を行っている。右肩上がりで成長を続けており、2025年12月期は過去最高売上を達成したという。2026年3月にアテニアの代表取締役社長に就任した春田康児氏に、成長戦略について聞いた。
──化粧品業界で初めて音声で相談ができるオンライン接客AIを導入した背景を知りたい。
アテニアは2026年2月、EC上で「アテニア AIビューティーアドバイザー」の提供を開始した。
当社は製販一貫体制をベースにしており、モノづくりから販売までを自社で担っている。特に、直営店舗の美容部員によるコミュニケーションは、アテニアのファンになっていただく大きなきっかけになっていて、対面での接客は非常に価値があると感じている。
しかし、アテニアの直営店舗は全国に25店舗しかない。メインチャネルは通信販売なので、より多くのお客さまにその体験価値を届けるために、オンライン上で店舗と同じようなコミュニケーションを実現できないかと考えたことがきっかけで導入に至った。
AIだからこそパーソナルな部分も気兼ねなく相談しやすくなるという利点も感じている。AIとの対話回数が多いほど、LTVにつながりやすいという傾向も見え始めている。長期的には、AIを通して、顧客理解をさらに深め、パーソナルなコミュニケーションの実現を目指している。
通常の対面接客と比べるとレスポンスが遅いなど、まだまだ課題はある。アテニアのお客さまは、本音をぶつけてくださることが多い。そのお声を聞きながら、一緒により良いサービスを作り上げていきたい。
──顧客が本音を話せる、深い信頼関係が土台にあると。
本音を話せる場の一つとして、2015年に開設した「アテニア ファンコミュニティ」がある。コミュニティー登録者は約24万人。コミュニティー参加者のLTVは高くなる。コミュニティーのアクティブユーザーの購入金額の前年差の伸びは、参加していないユーザーと比べて5.6倍ほど高い。
もともとは、お客さまの声が世の中に伝播していく起点になることを目的に開設したが、社内に先に浸透して、モノづくりやサービス開発時の顧客理解にも活用されてきた。今後は、ファンコミュニティーの体験自体がアテニアの出会いとなるような取り組みにもチャレンジしていきたい。
──中国で人気が高まっているが、今後の海外市場での成長戦略は。
アテニアは、日本のバブル崩壊を通じて成長を遂げてきたように、経済不安の中で生まれる葛藤に寄り添っていく。中国においても高価格帯の外資ブランドと低価格帯の国産ブランドという二極化が進んでいるが、D2Cが進んでいないこともあって中価格帯がフリースペースになっている。一流ブランドの品質を中価格帯で提供するというユニークなポジションを通じて、新しい価値を創出していきたい。
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