「Oops」では現在、男性AGA(脱毛症)やピル処方、ED(勃起不全)、メンタルヘルスなど合計14の診療科目においてオンライン診療プラットフォームを提供している。
「薬代は比較的高価な設定でありながら、ブランド力の強化により、価格競争に巻き込まれることなく、『Oops』の世界観が好きだからという動機の顧客を獲得できている」(平野代表)と話す。
クリエイティブにこだわり
ブランドの世界観を特に表しているのが、サイトや広告、商品(薬品)のパッケージのクリエーティブだ。
平野代表は社内の価値観として「ダサいことをしない」という共通認識があると語った。
「ダサいこととは、例えばAGAの広告で、排水溝に抜け毛が詰まっているようなビジュアルを使うようなことはしない。『Oops』は利用者の不安をあおったり、ギョッとさせたりする表現をしない」(平野代表)と話す。
他にも、「薄毛のお父さんではかわいそう」といった、ネガティブで、誰かを傷つけるような表現は徹底して避けている。
広告会社出身の平野代表の知見を生かし、「クリエーティブの力で業界のイメージや、受診のハードルの高さを払拭したい」(同)と話した。
「Oops WOMB(ウープス ウーム)」で提供しているピルのパッケージデザインが、「iF デザインアワード2024」のパッケージ分野において金賞を受賞した。ピルやオンライン診療の従来の心理的ハードルを下げ、ライフプロダクトとして提案する点が高く評価され、1万1000件の応募から75件の受賞に選ばれたという。

▲デザイン賞を受賞した「Oops WOMB」のパッケージ
自身の受診経験生かす
「Oops」創業のきっかけとなったのは、平野代表自身のEDの経験だった。ED治療の広告が年配者のイラストや、いかがわしいデザインのものばかりだと身をもって実感したそうだ。オンライン診療も浸透していなかった当時、最終的に平野代表が受診したクリニックは古びた雑居ビルの一室にあり、診察は体感5秒で終了した。
しかし、実際に処方された薬を服用したら、きちんと効果があったことに驚いたという。
「悩みがある人にとって、こんなにも良いものがあるのに、そこにたどり着くまでの心理的ハードルがあまりにも高く、診察も荒く、不安感もあった。業界の問題を身を持って実感した」(同)と話す。
「Oops」のビジュアルには、多国籍のモデルを採用しており、スタイリッシュな印象となっている。さらにレトロポップな色合いの洗練されたイラストで各診療科目を表し、親しみやすさも感じさせる。
「『Oops』とは、例えば帽子を落としたとか、小さなミスをしたときに『おっと』という意味で思わず口に出る言葉。今まで『オーマイガー』と感じていた心身の不調を『Oops!』くらい軽く捉えられるようになってほしいと、ブランド名に思いを込めた」(同)と語った。
厳格な法令順守の姿勢
平野代表は「サービスのブランド力や世界観を磨くだけではなく、『医療に対する真摯(しんし)な姿勢』を大切にしている」と話した。ビデオで医師による診察を実施することはもちろん、初診での大量処方を避けるなど、厳格に法令を順守する姿勢だ。
さらに痩身目的の「マンジャロ」など、違法でなくとも、利用者の健康被害や倫理観が問題となる処方は今後も行わない方針だとした。
商品(薬品)購入後の顧客にはLINEを活用して寄り添い、医療的な内容には必ず医師が返信している。
今後も医療の安全性への配慮とブランド力といった、価格以外の価値で選ばれるサービスに成長していきたいという。
